
マイホームを持ちたいけれど、土地が高くてなかなか手が出せない、という方も多いのではないでしょうか。
実は、土地を自分で購入しなくても、地主さんから土地を借りてそこに自分の家を建てるという方法があります。
これが借地権という考え方です。
この記事では、借地で家を建てる仕組みや、借地権の種類、家を建てるときの手順、費用、借地で家を建てることのメリットとデメリットを、専門家である宅地建物取引士の立場から分かりやすく解説します。
この記事を最後までお読みいただければ、ご自身の状況で借地に家を建てることが現実的な選択肢となるのか、どんな注意点があるのかを理解し、マイホーム実現への確かな一歩を踏み出すことができます。
不安を解消し、納得のいく家づくりを進めるための大切な情報が得られます。
この記事でわかること:
- 借地権のキホンや、土地の所有権とのちがい
- 借地権の種類で、建てる家や住める期間がどう変わるのか
- 借地に家を建てる具体的な手順や費用、ローン利用について
- 知っておくべき借地のメリット・デメリット、将来注意する点
- 不安をなくすための地主さんとの付き合い方や、専門家の相談先
借地に家が建てられる「借地権」の基本とは

マイホームを持ちたいけれど、土地が高くて諦めているみなさんもいらっしゃるかもしれません。
実は、土地を自分で購入しなくても、地主さんから土地を借りてそこに自分の家を建てるという方法があります。
この仕組みを理解するために欠かせないのが「借地権」です。
借地権とはどのような権利か
借地権とは、建物を所有する目的で地主さんから土地を借りる権利を言います。
土地を借りて建物を建てる人(借りる側)を「借地人」、土地を貸す人(貸す側)を「地主さん」と呼びます。
借地人は地主さんに、土地を借りる対価として「地代」を支払います。
この権利は「借地借家法」という法律によって定められており、借地人の立場が手厚く保護されています。
一般的なアパートやマンションの賃貸とは少し異なり、あくまで「建物を建てるため」に土地を借りる特別な権利です。
土地の所有権との違い
土地の所有権は、文字通り土地を完全に自分のものとして自由に使える権利です。
売買も賃貸も自由に行え、もちろん税金も全て自分で負担します。
一方、借地権は建物を建てる目的に限って土地を利用できる権利です。
土地そのものの所有者は地主さんのため、様々な場面で地主さんの承諾が必要になる場合があります。
比較項目 | 土地の所有権 | 借地権 |
---|---|---|
土地の所有 | 自分 | 地主さん |
土地の利用 | 自由 | 建物を建てる目的に限る |
土地にかかる税金 | 自分で負担(固定資産税など) | 地主さんが負担(借地人は建物分のみ) |
利用期間 | 制限なし | 契約期間あり(更新のルールは種類による) |
売買・建替えなど | 原則自由(法令による制限あり) | 地主さんの承諾が必要な場合が多い |
土地の所有権と比較すると、借地権は利用目的や期間に制限があり、地主さんの意向に左右される部分がある権利と言えます。
借地権の発生経緯と法律的な根拠
借地権は、歴史的に建物所有者が土地所有者より弱い立場に置かれがちだったことから、借地人を保護するために生まれました。
特に戦前から戦後にかけて建物が朽ちても簡単に立ち退きを求められないようにするなど、借地人の権利を強く認める必要があったのです。
現在の借地権は、平成4年(1992年)8月に施行された「借地借家法」という法律に基づいています。
借地借家法では、それまでの旧借地法による借地権に加え、「普通借地権」や「定期借地権」といった新しい種類の借地権が定められました。
この法律によって、借地契約の期間や更新のルールなどが細かく決められ、借地人の権利と地主さんの権利のバランスが図られています。
なぜ他人の土地に家を建てられるのか
他人の土地に自分の家を建てて住むことができるのは、まさに「借地権」という法律によって保護された権利があるからです。
建物所有を目的とする地上権、または土地の賃借権に借地借家法が適用されることで、単なる土地の賃貸とは異なり、借地人はその土地に建物を建てて所有することを法律的に認められています。
地主さんが正当な理由なく「土地を返してほしい」「家を取り壊してほしい」と言っても、借地権があれば借地人は立ち退く必要はありません。
これは、借地権が土地の所有権に匹敵するほど強い権利として法律で守られているためです。
ですから、借地権をきちんと理解し、契約内容を把握することが、借地に家を建てる上で最も大切な一歩となります。
借地上の建物を登記する大切さ
借地権は法律で保護された権利ですが、それを第三者に対して「私はこの土地を借りる権利がある」と正式に主張するためには、登記が非常に大切です。
具体的には、借地上の建物をご自身の名義で登記する必要があります。
もし建物の登記がないと、地主さんがその土地を別の人に売却してしまった場合、新しい土地の所有者(第三者)に対して「自分には借地権がある」と主張できなくなってしまう可能性があります。
つまり、住む家があるのに土地の利用権を認められず、困った事態になるかもしれません。
万が一、火災などで建物がなくなってしまった場合でも、すぐに再築できない時があります。
その際は、借地上の見やすい場所に「この土地には以前建物があり、今再築の意思がある」といった旨を示す看板などを設置することで、建物の滅失から2年間は借地権の対抗力を維持できる場合があります。
建物を登記しておくことで、ご自身の借地権という大切な権利を守ることにつながります。
借地権の種類を知る!家を建てる時の違いは?

- 旧借地権、普通借地権、定期借地権の比較
- 旧借地権の特徴と建替えのルール
- 普通借地権の特徴と契約期間
- 定期借地権の種類と期間満了時の扱い
- 事業用定期借地権について
- 借地権の種類によって建築に何が変わるのか
- 契約期間が建物の利用にどう影響するか
借地に家を建てる場合、最も重要になるのが借地権の種類を知ることです。
実は借地権にはいくつか種類があり、それぞれで土地の借り方や建物の扱いに大きな違いがあるのです。
旧借地権、普通借地権、定期借地権の比較
種類 | 根拠法 | 存続期間 | 更新 | 期間満了時の扱い |
---|---|---|---|---|
旧借地権 | 旧借地法 | 堅固建物: 60年、非堅固建物: 30年 | 原則更新(借地人に有利) | 原則、契約が続くか建物を買取る |
普通借地権 | 借地借家法 | 30年以上 | 正当事由がない限り法定更新(複数回) | 原則、契約が続く |
一般定期借地権 | 借地借家法 | 50年以上 | 更新なし | 原則、更地にして返還 |
借地権の種類が異なると、その土地に何年間住めるのか、将来建て替えはできるのか、契約が終わった時に建物はどうなるのかなどが全く変わってきます。
ですから、ご自身の借地権がどの種類にあたるのかをまず確認する必要があります。
旧借地権の特徴と建替えのルール
旧借地権は、1992年8月より前の古い法律に基づいて設定された借地権です。
この法律は借地人さんの権利を手厚く保護することに重点が置かれていました。
契約期間は、建物の構造によって異なりました。
鉄骨造やコンクリート造のような堅固な建物の場合は30年以上、木造などの非堅固な建物の場合は20年以上が定められています。
契約で期間の定めがなかった場合、堅固な建物は60年、非堅固な建物は30年となります。
建物の種類 | 当初の期間(定めがない場合) | 更新後の期間(定めがない場合) |
---|---|---|
堅固建物 | 60年 | 30年 |
非堅固建物 | 30年 | 20年 |
旧借地権では、期間が満了しても、借地人さんが希望すれば原則として契約が更新されました。
特別な理由がない限り地主さんから更新を断ることは難しかったのです。
そのため、半永久的に土地を借り続けられるケースも多くありました。
建替えについても地主さんの承諾が必要でしたが、法的な判断としては承諾を得やすい傾向がありました。
ただ、現代では地主さんとの関係性や時代の変化から、旧借地権であるがゆえにトラブルになることもあります。
普通借地権の特徴と契約期間
普通借地権は、1992年8月以降に施行された借地借家法に基づく借地権です。
現在の借地契約で最も一般的なものになります。
この普通借地権の特徴は、期間が満了しても地主さんに正当な理由がない限り、契約が法定更新される点です。
最初の契約期間は30年以上とされています。
1回目の更新は20年以上、2回目以降の更新は10年以上となります。
タイミング | 契約期間(定めがない場合) |
---|---|
当初契約 | 30年以上 |
1回目の更新 | 20年以上 |
2回目以降の更新 | 10年以上 |
契約が繰り返し更新されることで、結果として土地を非常に長い期間、場合によっては半永久的に利用できる可能性がある点が旧借地権と似ています。
普通借地権で家を建てる場合、最初の契約期間が満了しても住み続けられる見込みが高いと言えます。
定期借地権の種類と期間満了時の扱い
定期借地権も、借地借家法で定められた新しい借地権の種類です。
普通借地権と決定的に違うのは、契約の更新がないという点です。
契約で定めた期間が満了すると、借地契約は終了し、原則として土地を更地に戻して地主さんへ返すことになります。
住まいとして利用する場合、一般定期借地権か建物譲渡特約付借地権が当てはまります。
種類 | 期間 | 特徴 | 期間満了時の扱い |
---|---|---|---|
一般定期借地権 | 50年以上 | 利用目的の制限なし | 原則、更地にして返還 |
建物譲渡特約付借地権 | 30年以上 | 期間満了時に地主さんが建物を買い取る | 地主さんへ建物を譲渡(買い取り) |
一般定期借地権で家を建てると、例えば50年後にその家を取り壊さなければならない可能性があります。
建物譲渡特約付借地権では、建てた家を地主さんに買い取ってもらうという約束になります。
定期借地権で家を建てる場合は、契約期間と期間満了時に建物がどうなるのかをしっかり理解しておくことが非常に大切です。
事業用定期借地権について
事業用定期借地権は、文字通り事業用の建物を建てるために土地を借りる場合の借地権です。
住宅などの居住用の建物には利用できません。
契約期間は10年以上50年未満と定められています。
契約は必ず公正証書を作成しておこなう必要があります。
これは、個人で住む家を建てる目的の借地権ではないため、この記事のテーマである「借地で家を建てる」こととは直接関係がありません。
借地権の種類によって建築に何が変わるのか
借地権の種類によって、その土地にどのような家を建てられるか、将来的にどう扱えるかが変わります。
旧借地権では、建てようとする家が堅固な建物か非堅固な建物かによって契約期間や更新後の期間が変わりました。
また、建替えには地主さんの承諾が必要で、その承諾料が発生することが一般的です。
普通借地権では建物の構造による区別はありませんが、建替えや増改築には原則として地主さんの承諾を得て、承諾料を支払う必要があります。
定期借地権、特に一般定期借地権で家を建てる場合は、契約期間が満了した際に建物を取り壊すことが前提となるため、その点を考慮した建築計画が必要です。
建築会社に相談する前に、ご自身がどのような借地権を持っているのかを確認し、その借地権のルールを正確に把握しておくことが、スムーズな建築計画の第一歩になります。
契約期間が建物の利用にどう影響するか
借地権の契約期間は、そこに建てる家の利用の仕方に大きく影響します。
普通借地権のように、契約が更新され長く住み続けられる可能性がある借地権であれば、建てた家で長期的なライフプランを考えることができます。
一方、定期借地権で期間が決まっている場合は、その期間内に住宅ローンを完済できるか、期間満了が来るまでにどのように住まいを終えるか(売却や取り壊しなど)、あるいは次の住まいをどうするかなど、計画的に考える必要があります。
例えば、契約期間が50年なら、50年後にどうするかを見据えて家づくりをすることになります。
契約期間の長短や更新の有無は、建て替えのタイミング、売却の難易度、そして相続の際の取り扱いにも関わってきます。
ですから、ご自身のライフステージや将来設計と照らし合わせて、その借地権の契約期間が合っているのかどうかを慎重に判断することが重要です。
借地に家を建てる具体的な流れや費用

- 借地権付き建物を購入する場合
- 新たに土地を借りて家を建てる場合
- 建築時の地主さんの承諾は必要か
- 建替えや増改築時の手続きと費用
- 借地で家を建てるための初期費用
- 毎月かかる地代について
- 住宅ローンを組む難しさ
- 必要な許可や手続きの種類
- 工務店やハウスメーカー選びの視点
借地に家を建てることは、土地の購入費用を抑えたい場合に有効な選択肢の一つです。
土地を所有する場合とは異なる特別な手続きや費用が発生します。
借地に建物を建てる場合、大きく分けて二つの方法があります。
一つは既に建物が建っている「借地権付き建物」を購入する方法、もう一つは地主から新たに土地を借りて家を新築する方法です。
どちらの方法を選ぶかによって、流れや必要な費用が異なります。
ここからは、それぞれの具体的なプロセスや費用、そして特有の注意点について詳しく見ていきます。
借地権付き建物を購入する場合
借地権付き建物を購入する場合、土地の所有権は地主さんが持ち、建物と土地を利用する権利である借地権を購入します。
中古の一戸建てなどで見かけることがあります。
探し方は、一般的な不動産検索サイトや不動産会社の店舗で「借地権付き」という条件で物件を探すのが一般的です。
購入を決めたら、売主さんとの間で売買契約を結びます。
契約時には、建物価格に加えて借地権価格、仲介手数料、登記費用などが発生します。
建物の築年数によっては、購入後にリフォームや建て替えを検討することもあるでしょう。
その場合、地主さんの承諾が必要になる場合が多く、承諾料が発生する可能性があります。
売買契約と並行して、借地契約に関する重要事項説明を受け、契約内容を十分に理解することが大切です。
新たに土地を借りて家を建てる場合
新たに土地を借りて家を建てる場合は、まず家を建てるのに適した借地を探すことから始めます。
地主さんと借地契約(土地賃貸借契約)を締結し、そこに家を新築します。
この方法の場合、地主さんと契約条件について直接交渉することになります。
普通借地権で契約するのか、定期借地権で契約するのかによって、契約期間や更新の有無、期間満了時の扱いなどが大きく異なります。
初期費用としては、地主さんに支払う保証金や権利金(地域や条件によりますが、更地価格の数パーセントから数十パーセントが目安とされることもあります)に加え、建築費用、登記費用、仲介手数料などが発生します。
建築時には、借地契約に基づいて建物の種類や構造に制限がないか確認し、地主さんの承諾を得る手続きが必要です。
契約内容をしっかりと確認し、将来にわたる地代の支払い義務や契約期間満了時の対応について、地主さんと十分に話し合うことが不可欠です。
建築時の地主さんの承諾は必要か
借地に建物を建築したり、建て替えたりする際には、原則として地主さんの承諾が必要です。
これは、借地契約は土地の利用方法について地主さんと借地人さんとの間で結ばれた合意に基づくものであり、契約内容に反する行為や、地主さんの権利に影響を及ぼす行為には承諾が求められるためです。
特に建物の新築や建て替えは、借地契約の目的物である建物そのものを変更する行為にあたります。
無断で建物を建てたり、契約で認められていない用途の建物を建てたりすると、契約違反とみなされ、最悪の場合、借地契約を解除されるリスクも考えられます。
そのため、建築や建て替えを計画する際には、必ず事前に地主さんに相談し、書面での承諾を得る手続きを進めるようにしてください。
地主さんとの良好な関係を維持することが、借地での生活を円滑に進める上でとても大切です。
建替えや増改築時の手続きと費用
借地に建てた家を将来的に建替えたり、増築や改築をしたりする場合、多くの借地契約では地主さんの承諾が必要です。
承諾を得るための手続きとしては、まず計画内容(どのような建物を建てるか、増改築の内容など)を地主さんに伝え、同意を得ることから始めます。
通常、書面で「建替え(または増改築)承諾申請書」などを提出し、正式な承諾書を受け取る流れになります。
この承諾に際して、借地人さんは地主さんへ「承諾料」を支払うことが一般的です。
承諾料の目安は、地域や契約内容によって異なりますが、更地価格の3~5%程度とされるケースが多く見られます。
承諾料の有無や金額についても、事前に地主さんとよく話し合い、書面で確認しておくことが望ましいです。
また、契約内容によっては承諾が不要な場合や、特別な取り決めがあることもありますので、契約書を必ず確認してください。
借地で家を建てるための初期費用
借地に家を建てる場合の初期費用は、土地を購入する場合と比べて、土地そのものの購入代金がかからない点が大きな違いです。
しかし、代わりに地主さんに支払う費用や、借地権特有の諸費用が発生します。
費用項目 | 借地権付き建物を購入する場合 | 新たに土地を借りて新築する場合 | 備考 |
---|---|---|---|
建物代・建築費用 | 中古建物購入代金またはリフォーム・建て替え費用 | 新築建築費用 | 建物の仕様や規模により大きく変動 |
借地権価格 | 中古建物購入代金に含まれる場合が多い | – | 新規の場合は通常発生しない |
保証金・権利金 | – | 地主へ支払う(更地価格の数%~数十%目安) | 地域や契約内容により金額や名称が異なる |
仲介手数料 | 不動産会社に支払う | 土地探しの仲介や契約で発生 | 売買・賃貸借いずれも宅建業法に基づく上限あり |
登記費用 | 所有権移転登記(建物)・借地権登記など | 所有権保存登記(建物)・借地権登記など | 司法書士への報酬や登録免許税 |
住宅ローン関連費用 | 保証料、事務手数料など | 保証料、事務手数料など | 金融機関により異なる |
火災保険料・地震保険料 | 必要 | 必要 | 建物の構造や補償内容により異なる |
不動産取得税 | 建物部分に課税 | 建物部分に課税 | 土地部分には課税されない |
印紙税 | 売買契約書、建築請負契約書など | 借地契約書、建築請負契約書など | 契約金額に応じて税額が変わる |
地主への承諾料 | 建替えや増改築時、名義変更時など | 新築時(契約による)、建替えや増改築時など | 地主さんとの契約や協議による |
特に新たに土地を借りる場合は、保証金や権利金といった一時金が必要になることが多いです。
これらの初期費用を考慮しても、土地を購入する場合に比べれば、頭金や借入額を抑えられる可能性があることはメリットです。
毎月かかる地代について
借地で家に住み続ける限り、借地人さんは地主さんへ毎月(あるいは毎年など、契約で定められた期間ごとに)地代を支払い続ける義務があります。
地代は、土地の賃料にあたるものです。
地代の金額は、契約時に地主さんと借地人さんの間で協議して決められますが、周辺の土地の賃料相場、固定資産税・都市計画税の金額、土地の形状や広さなどを考慮して設定されるのが一般的です。
地代は固定ではなく、経済情勢の変化や周辺の地価変動、固定資産税・都市計画税の増減などに応じて、将来的に地主さんから値上げを求められる可能性があります。
借地借家法では、地代が不相当になった場合、増減額を請求できると定められています。
地主さんとの合意が得られない場合は、調停や裁判といった手続きに進むこともあります。
地代の支払いは長期にわたる負担となるため、契約前に金額や支払い方法、値上げの可能性について十分に確認し、理解しておくことが大切です。
住宅ローンを組む難しさ
借地に家を建てる際、多くの人が住宅ローンを利用することを検討します。
しかし、土地の所有権がない借地権付き建物や借地上の新築の場合、住宅ローンの審査が所有権の土地に建てる場合と比べて厳しくなる傾向があります。
これは、金融機関にとって土地という強力な担保がないためです。
万が一、ローン返済ができなくなった場合でも、建物だけでは十分な担保価値が得られないと判断されることがあります。
そのため、借入可能額が希望よりも少なくなる、借入期間が短くなる、金利が高くなるなどの条件提示を受ける可能性があります。
フラット35など、借地権にも対応している住宅ローンもありますが、利用には一定の条件(定期借地権の残存期間など)を満たす必要があります。
また、金融機関によっては、地主さんの同意や協力が必要となるケースも考えられます。
住宅ローンを検討する際は、複数の金融機関に事前に相談し、借地である旨を伝えて条件を確認することが非常に重要です。
必要な許可や手続きの種類
借地に家を建てる際には、建築基準法に基づく「建築確認申請」を行い、建築主事または指定確認検査機関から建築確認済証の交付を受ける必要があります。
これは、どのような場所に家を建てる場合でも共通する手続きです。
借地の場合に加えて必要となる主な許可や手続きは以下の通りです。
- 地主さんの承諾: 借地契約に基づき、建物の新築や建替え、増改築、あるいは借地権付き建物の購入による名義変更などには、原則として地主さんの承諾が必要です。
- 借地契約: 新たに土地を借りて新築する場合は、地主さんとの間で借地契約(土地賃貸借契約)を締結します。契約期間、地代、更新、増改築の取り決めなどを明確に定めます。
- 建物登記: 完成した建物を借地人さんの名義で登記します。これは、借地借家法において、借地権者が借地上の建物を自己名義で登記することで、土地の所有者以外の人(第三者)に対して借地権を主張できる(対抗できる)要件とされているため、非常に重要です。
これらの手続きを適切に行わないと、後々のトラブルの原因となる可能性があります。
特に地主さんの承諾や建物の登記は、借地権を法的に保護し、安心して土地を利用するために不可欠な手続きです。
工務店やハウスメーカー選びの視点
借地に家を建てる場合も、基本的には希望するデザインや性能、予算に合わせて工務店やハウスメーカーを選びます。
しかし、借地ならではの視点も加えることが望ましいでしょう。
まず、候補となる工務店やハウスメーカーに、建てたい土地が借地であることを明確に伝え、借地での建築実績があるかどうかを確認してみると良いかもしれません。
借地での建築経験が豊富な事業者であれば、借地契約の内容を踏まえた建築上の注意点や、地主さんとの調整など、借地特有の事情を理解している可能性が高いです。
もちろん、それだけで判断するのではなく、過去の施工例や担当者の説明の丁寧さ、アフターサポート体制なども含めて総合的に評価することが重要です。
建物の品質はもちろんのこと、借地という特殊な条件での家づくりを円滑に進めてくれるパートナーを選ぶ視点も持っておくと安心です。
後悔しないために!借地に家を建てるメリット・デメリット

- 借地に家を建てることのメリット
- 借地に家を建てることのデメリット
- 土地所有と比較した場合の費用差
- 税金の負担はどうなるのか
- 将来売却したい時はどうするか
- 親からの相続はスムーズか
- 地主さんとの良い関係を築く大切さ
借地に家を建てるという選択は、土地を所有する場合と比べてメリットもデメリットもあります。
借地に家を建てることのメリット
借地に家を建てる大きな魅力は、やはり初期費用を大幅に抑えられる点です。
高額な土地代を支払う必要がないため、予算を建物にかけることや、住宅ローンの借入額を減らすことが期待できます。
また、土地にかかる税金(固定資産税や都市計画税)の納税義務がないことも借地人のメリットです。
メリット項目 | 内容 |
---|---|
初期費用 | 土地購入費が不要 |
税負担 | 土地の固定資産税・都市計画税は不要 |
建て替えによる快適性向上(建物所有の場合) | 住まいの機能・性能改善を目的とする建替えの実施 |
所有する土地に建てる場合に比べて、初期の金銭的な負担を軽くしたい方にとっては、借地に家を建てることは有力な選択肢となるでしょう「たしかに」。
借地に家を建てることのデメリット
一方で、借地に家を建てることには、土地を所有する場合とは異なるいくつかの制約や継続的な負担が発生します。
最も継続的なのは地主さんへの地代支払い義務で、借地契約が続く限り発生します。
また、建物の増改築や建て替え、そして将来的に借地権付き建物を売却する際には、原則として地主さんの承諾が必要です。
この承諾を得るために、契約内容によっては更新料や建て替え承諾料、名義書換料といった費用が発生します。
デメリット項目 | 内容 |
---|---|
継続費用 | 地代の永続的な支払い |
地代変動リスク | 地代の値上げを求められる可能性 |
ローン利用 | 住宅ローン審査が厳しくなりがち |
担保価値 | 土地の担保価値がないため評価が低くなる傾向 |
将来の売却 | 所有権付き建物より買い手が見つけにくい |
建替え・増改築・売却時の承諾 | 地主の承諾と承諾料が必要な場合あり |
これらのデメリットを事前にしっかりと把握し、ご自身のライフプランと照らし合わせて検討することが大切です。
土地所有と比較した場合の費用差
借地と土地所有では、住宅にかかる費用構造が大きく異なります。
土地所有の場合、初期費用として高額な土地購入費がかかりますが、その後は基本的に固定資産税や都市計画税などの土地関連税の負担となります。
一方、借地の場合は初期の土地購入費はありませんが、代わりに契約期間中、地主さんへ毎月地代を支払う必要があります。
さらに、契約更新時や建物の建て替え、売却といったタイミングで地主さんへの承諾料などの一時金が発生する可能性があります。
費用項目 | 借地の場合 | 土地所有の場合 |
---|---|---|
初期費用(土地関連) | 不要 | 土地購入費が発生 |
継続費用 | 地代支払い | 土地の固定資産税・都市計画税 |
将来の費用(更新時) | 更新料が発生する場合あり | 不要 |
将来の費用(建替え時) | 建替え承諾料が発生する場合あり | 不要 |
将来の費用(売却・相続時) | 名義書換料等が発生する場合あり | 不要 |
どちらがお得か、という単純な話ではなく、初期費用を抑えたいのか、長期的な継続費用や将来の費用発生リスクをどう考えるかによって、選択が変わってくる費用面での違いがあります。
税金の負担はどうなるのか
借地に家を建てた場合、土地に関する税金は基本的に地主さんが負担します。
具体的には、土地にかかる固定資産税や都市計画税は土地所有者である地主さんの納税義務となります。
借地人であるみなさんは、ご自身の建物部分にかかる固定資産税や都市計画税、そして不動産取得税(建物分のみ)を納めます。
将来、借地権付き建物を相続する場合には、相続税の課税対象となる借地権の評価額に応じた税負担が発生する場合があります。
税金の種類 | 借地人の負担 | 土地所有の場合の負担 |
---|---|---|
土地の固定資産税 | 不要 | 負担あり |
土地の都市計画税 | 不要 | 負担あり |
建物の固定資産税 | 負担あり | 負担あり |
建物の都市計画税 | 負担あり | 負担あり |
土地の不動産取得税 | 不要 | 負担あり |
建物の不動産取得税 | 負担あり | 負担あり |
相続税(土地関連) | 借地権評価額分 | 土地の所有権評価額分 |
税金面だけを見れば、土地関連税の負担がない点は借地のメリットと言えますが、地代という継続的な支払いがあるため、トータルコストで比較検討することが重要です。
将来売却したい時はどうするか
借地権付き建物を売却することは可能ですが、土地の所有権付き建物と比べて難しい側面があります。
なぜなら、借地権付き建物の売却には、原則として地主さんの承諾が必要となるからです。
地主さんが承諾してくれない場合や、高額な名義書換料(一般的に借地権価格の10%程度が目安とされることがあります)を求められた場合、売却のハードルが上がります。
また、借地権付き建物は市場性が低く、買い手を見つけにくい傾向があり、価格も所有権付き建物より安くなるのが一般的です「これが実情」。
売却時のポイント | 内容 |
---|---|
地主の承諾 | 原則として必要 |
名義書換料 | 契約や慣習により地主への支払いが必要な場合あり |
市場性 | 所有権付き建物より低い傾向 |
売却価格 | 所有権付き建物より安価になりがち |
契約不適合リスク | 借地契約の内容を買い手が引き継ぐ |
専門家の活用 | 不動産業者や弁護士への相談が有効 |
将来的に売却する可能性がある場合は、売却時の条件や手続きについて、契約前にしっかりと確認しておくことや、地主さんと話し合っておくことが非常に大切です。
親からの相続はスムーズか
借地権は法律上認められた権利であり、相続財産となりますので親から子へ相続することが可能です。
ただし、借地権付き建物を共有名義で相続してしまうと、将来的に共有者間での意見の相違や連絡不通などにより、建物の建て替えや売却といった際にトラブルに発展するリスクがあります「これはよくある話です」。
税理士さんが推奨するように、借地権付き建物の相続においては、可能な限り単独名義での相続を目指すことが推奨されます。
また、相続税の計算においては、借地権の評価が必要となりますが、その評価方法は複雑なため注意が必要です。
相続時の注意点 | 内容 |
---|---|
相続性 | 相続財産となる |
相続税 | 借地権評価額に応じた税負担が発生する可能性あり |
共有名義のリスク | 将来的なトラブルの種となりうる |
推奨される名義形態 | 単独名義 |
地主への通知・承諾 | 原則として相続を地主へ通知する必要あり |
名義変更手続き | 建物の登記簿の名義変更が必要 |
専門家への相談 | 税理士や弁護士、司法書士への相談が有効 |
相続が発生した際には、速やかに借地契約書や建物登記簿などの書類を確認し、必要に応じて専門家へ相談することが相続を円滑に進めるための鍵となります。
地主さんとの良い関係を築く大切さ
借地に家を建てることは、地主さんとの継続的な人間関係の上に成り立ちます。
単に地代を支払うだけでなく、借地契約の更新、建物の建て替えや増改築の際の承諾、あるいは将来の売却や相続といった様々な局面で、地主さんとのコミュニケーションや理解が不可欠です。
借地権は借地借家法で借地人が保護されていますが、やはり人対人の契約であり、地主さんとの良好な関係は、安心して暮らしていく上で非常に重要な基盤となります。
地代の値上げ交渉など、契約内容や法律だけでなく、信頼関係が影響する場面もあります。
関係性が重要な局面 | 具体的な内容 |
---|---|
地代の支払い・交渉 | 期日通りの支払い、値上げ要求への対応 |
契約更新時 | 更新意思の確認、更新料の合意 |
建替え・増改築時 | 承諾依頼、承諾料の交渉 |
借地権付き建物の売却時 | 売却承諾の依頼、名義書換料の交渉 |
相続時 | 相続の通知、新借地人との関係構築 |
日常的なトラブル対応 | 近隣トラブルや土地の利用に関する相談 |
日頃から誠実に対応し、必要に応じて適切なコミュニケーションを心がけることが、借地で円満に長く暮らしていくための秘訣と言えます。
借地権で家を建てる時の重要なポイントと専門家の活用

借地に家を建てるには、土地の所有権とは異なる「借地権」という特殊な権利に関する正しい理解が欠かせません。
契約内容を把握し、必要に応じて専門家のサポートを得ることが、安心して計画を進めるための鍵となります。
契約内容をしっかり確認するポイント
借地契約書は、単に地代の金額だけが書いてある書類ではありません。
土地を借りて家を建てるという長期的な計画の基盤となる、とても大切な取り決めが記されています。
将来的なトラブルや不安を防ぐためにも、契約内容を一つひとつ丁寧に確認する必要があります。
特に重要な項目は、契約期間、地代、更新料、増改築や建替えに関するルール、そして承諾料などです。
例えば、契約期間が満了した場合、更新ができるのか、それとも更地にして返さなければならないのかは、借地権の種類(普通借地権か定期借地権かなど)によって大きく異なります。
また、地代がどのように決定されるのか、更新料や建替え時の承諾料はどのくらいかかるのかなど、金銭的な取り決めも必ず把握しておくべきです。
確認すべき主な項目 | 内容 |
---|---|
借地権の種類 | 普通借地権、定期借地権など |
契約期間 | 当初期間、更新後の期間 |
地代 | 金額、支払方法、改定ルール |
契約更新に関する取り決め | 更新の可否、更新料の有無・金額の目安 |
増改築・建替えに関する規定 | 承諾の要否、承諾料の有無・金額の目安 |
借地上の建物の用途 | 住宅用か事業用かなど |
特約条項 | 個別の取り決め |
こうした項目について、不明な点や疑問があれば、そのままにせず地主さんや専門家に確認することが大切です。
契約内容を深く理解することが、借地で家を建てる第一歩となります。
地主さんとの契約交渉について
借地で家を建てる場合、土地の持ち主である地主さんとの関係構築と契約交渉は避けて通れないステップです。
特に契約を新規で結ぶ場合や、契約期間の更新、建物の増改築・建替え、借地権付き建物の売却など、様々なタイミングで地主さんの承諾が必要になったり、交渉が必要になったりします。
例えば、地代の金額や、契約更新時の更新料、建替えをする際の承諾料などは交渉の対象となることがあります。
これらの費用には法律上の明確な基準がなく、慣習や個別の状況によって決まる場合が多いのです。
{{ソース}}にあるように、建替え承諾料が更地価格の3~5%程度、更新料が更地価格の3~5%程度といった相場はありますが、交渉によって変わることもあります。
円満に交渉を進めるためには、相場を理解しておくこと、そして何よりも地主さんとの信頼関係を築くことが重要です。
地主さんとの交渉をスムーズに進めるポイント | 内容 |
---|---|
良好な関係の構築 | 日頃から丁寧なコミュニケーション |
事前準備 | 契約内容や相場の正確な情報収集 |
交渉内容の明確化 | 何をどのように改善したいかを具体的に |
専門家のサポート活用 | 客観的な立場からのアドバイスや交渉代行 |
交渉に不安がある場合や、条件面で折り合いがつかない場合は、私たち宅地建物取引士や弁護士などの専門家を間に立てることで、円満な解決につながる場合が多くあります。
お互いにとって納得のいく条件を見つけることが、長期的に安心して借地に住み続けるために必要です。
専門家に相談する重要性
借地権は、土地の所有権に関する一般的な知識だけでは対応できない、専門性の高い法律や慣習が関わる権利です。
ご自身で全てを判断したり手続きを進めたりしようとすると、思わぬ落とし穴にはまってしまう可能性があります。
安心して借地で家を建てるためには、専門家への相談が不可欠です。
専門家は、借地権の種類による期間満了時の取り扱いの違いや、地代改定のルール、建物の増改築や建替え時の手続き、そして最も複雑になりやすい借地権の相続や売却について、正確な知識と経験に基づいたアドバイスを提供できます。
{{ソース}}にもあるように、借地権付き建物を共有名義で相続したためにトラブルになった事例や、売却時に地主さんの承諾が得られず困った事例など、様々なケースに対応した経験があります。
専門家に相談することで、潜在的なリスクを早期に発見し、適切な対策を講じることができます。
専門家に相談するメリット | 内容 |
---|---|
正確な知識の提供 | 借地権の種類や法的なルールに関する解説 |
契約内容の確認とアドバイス | 不利な条項や不明瞭な点の指摘、交渉のアドバイス |
トラブルの予防と解決 | 契約前のリスク診断、地主さんとの交渉代行、法的な対応 |
手続きのサポート | 建築許可、登記、相続手続きなどの支援 |
不安の解消 | 客観的な視点からのアドバイスと精神的な安心感提供 |
借地で家を建てるという大きな決断には、多くの検討事項があります。
専門家という心強い味方をつけることが、不安を解消し、計画通りに物事を進めるための最良の方法です。
どのような専門家(宅地建物取引士、弁護士など)に相談すべきか
借地権に関する相談に対応できる専門家はいくつかいます。
それぞれの専門家が持つ知識や経験は異なり、抱えている悩みや相談したい内容によって適した専門家を選ぶ必要があります。
主な専門家として、宅地建物取引士、弁護士、司法書士、税理士などが挙げられます。
私たち宅地建物取引士は、不動産取引の専門家として、借地権付き建物の売買や新たな借地契約に関する市場の慣習、適正な地代や承諾料の相場、契約内容の確認、契約手続きのサポートなどが得意分野です。
弁護士は法律の専門家であり、地主さんとの間で契約条件の変更や地代の値上げ、契約更新、建替え承諾などを巡るトラブルが発生した場合の交渉や訴訟対応に強みがあります。
司法書士は不動産登記の専門家であり、建物の所有権登記や借地権の登記(可能な場合)、相続による名義変更などの手続きを代行します。
税理士は税金の専門家で、借地権付き建物の購入や売却、相続が発生した場合の税金(相続税や譲渡所得税など)に関する相談に乗ったり、税務申告をサポートしたりします。
専門家の種類 | 主な役割と得意分野 | どのような相談に適しているか |
---|---|---|
宅地建物取引士 | 不動産取引、市場相場、契約内容の確認、売買・賃貸の仲介 | 借地権付き物件の購入・売却、新規借地契約、一般的な相談 |
弁護士 | 法的な解釈、交渉、訴訟、紛争解決 | 地主とのトラブル(地代、更新、建替え、契約解除など) |
司法書士 | 不動産登記、相続登記、名義変更 | 借地権の登記、建物の登記、相続や贈与に伴う名義変更 |
税理士 | 不動産に関する税金、相続税、譲渡所得税 | 相続や売却時の税金、節税対策 |
抱えている問題がどの分野に当てはまるのか、あるいはいくつかの専門家が連携して対応する必要があるのかを考えて、まずは最初に相談する専門家を選ぶと良いでしょう。
状況に応じて適切な専門家が異なってくるのです。
不安を解消して安心して家を建てるために
借地で家を建てることには、土地の初期費用を抑えられるといったメリットがある一方で、地主さんとの関係性や契約内容の複雑さなど、所有権にはない独特の注意点があるため、不安を感じるのは当然です。
しかし、正しい知識を身につけ、適切なサポートを得ることで、こうした不安は解消できます。
安心してマイホームを実現するための道筋はしっかりとあります。
まず、借地権について学び、ご自身の借地権がどのような種類なのか、契約内容はどうなっているのかを正確に理解することから始めましょう。
次に、費用面についても、地代や将来かかる可能性のある更新料、建替え承諾料なども含めて、長期的な視点で資金計画を立てることが大切です。
そして何よりも、借地権に詳しい私たち宅地建物取引士や弁護士といった専門家に相談し、一つひとつ疑問を解消していくことが、不安を安心に変えるための最も効果的な方法です。
安心して家を建てるためのステップ | 内容 |
---|---|
借地権に関する知識習得 | 借地権の種類、特徴、法的なルールを理解 |
契約内容の徹底確認 | 地主さんとの契約書の内容を漏れなくチェック |
費用の全体像把握 | 地代、更新料、承諾料など、将来かかる費用も含めて計算 |
専門家への相談 | 借地権に詳しい専門家を見つけ、疑問点や不安を解消する |
計画の具体化 | 専門家のアドバイスを踏まえ、無理のない建築計画を立てる |
借地で家を建てることは、土地購入とは違うハードルがあるからこそ、事前の準備と専門家の活用が成功の鍵を握ります。
一人で悩まず、専門家のサポートを得ながら、理想のマイホーム実現に向けて確実にステップを進んでいくことをおすすめします。
よくある質問(FAQ)

借地で家を建てる場合、毎月地代を支払うとのことですが、地代はどのように決まるのですか?
地代は、地主さんと借地人さんの間で話し合って決められます。
一般的には、土地の固定資産税・都市計画税の金額を基に、周辺の似たような土地の賃料相場、土地の広さや形状、利用状況などを考慮して決定されることが多いです。
契約によって支払方法(毎月、毎年など)も定めます。
借地権付き建物の建て替えや売却時には地主さんの承諾が必要と聞きました。もし承諾が得られない場合はどうなりますか?
借地借家法に基づき、建物の建て替えや借地権付き建物の売却には原則として地主さんの承諾が必要です。
もし地主さんの承諾が得られない場合は、借地人さんは裁判所に申し立てて、地主さんの承諾に代わる許可を得る手続きを行うことができます。
これは、借地人の権利を守るための法的な手段です。
借地で家を建てる際に利用する住宅ローンは、なぜ審査が厳しくなりやすいのでしょうか?また、どのような点に注意が必要ですか?
住宅ローンは、土地と建物を合わせて担保にすることが一般的です。
しかし、借地では土地の所有権がないため、担保となるのは建物のみとなります。
金融機関は土地の担保価値がない分を考慮するため、所有権の土地に建てる場合と比較して、借入期間が短くなる、融資額が少なくなるなど、審査が厳しくなる傾向が見られます。
フラット35など借地権に対応したローンもありますが、借地権の種類や残存期間など一定の条件を満たす必要がありますので、複数の金融機関に事前に相談して条件を確認することが大切です。
借地権を相続した場合、共有名義だとトラブルになりやすいと聞きました。具体的にどのようなトラブルが考えられますか?回避策はありますか?
借地権は相続財産となり、親から子へ引き継ぐことができます。
しかし、複数の相続人で共有名義にすると、将来的に建物の建て替えや売却、地主さんへの対応などで意見が分かれたり、連絡がスムーズにとれなくなったりして、必要な手続きが進まなくなるなどのトラブルが起こりやすくなります。
相続に際しては、専門家(税理士や司法書士)に相談し、可能な限り単独名義で相続することが推奨されます。
定期借地権の場合、契約期間満了時に建物を解体して更地にするとありますが、その解体費用は誰が負担するのですか?
一般定期借地権など、契約期間が満了した際に土地を更地にして地主さんに返還するという取り決めの定期借地権では、借地人さんが建てた建物を解体し、土地を契約開始前の状態(通常は更地)に戻す義務があります。
そのため、建物の解体費用は、原則として借地人さんが負担することになります。
契約時にこの点も明確に確認しておく必要があります。
借地に家を建てる契約を締結する際に、地代や更新料、承諾料の金額について地主さんと交渉することは可能ですか?相場はありますか?
地代や契約更新時の更新料、建物の建て替えや増改築時の承諾料などの金額は、法律で一律に定められているわけではなく、地主さんと借地人さんとの間の契約や、地域や慣習によって決まることが一般的です。
これらの金額について地主さんと交渉することは可能です。
ソースにも記載がありますが、更新料や建替え承諾料は更地価格の3~5%程度などが目安とされますが、具体的な金額は個別の状況や交渉によって異なります。
専門家(宅地建物取引士や弁護士など)に相談しながら進めることで、円満な交渉につながる場合が多くあります。
まとめ

この記事では、マイホーム実現の一つの方法として借地で家を建てる仕組みを解説し、その基盤となる借地権の基本的な知識や種類、家を建てるための具体的な費用や手続き、地主さんとの契約に関する注意点について分かりやすくお伝えしました。
借地で家を建てることは土地の初期費用を抑えられるメリットがある一方で、地代の継続的な費用やローンの利用、将来の建替えや売却時に地主さんの承諾が必要となるなどのデメリットも存在します。
ご自身の状況に適しているかを判断するためには、これらの点をしっかり理解することが大切です。
- 借地権は土地を借りて家を建てる権利であり、所有権とは異なる法的な性質があること
- 借地権の種類(普通借地権や定期借地権など)によって、契約期間や更新、期間満了時の家の扱いが大きく異なること
- 借地に家を建てることには初期費用を抑えられるメリットと、地代の継続費用や地主さんの承諾が必要となるデメリットがあること
- 安心して家を建てるためには、借地の契約内容を理解し、地主さんとの関係性を大切にするとともに、宅地建物取引士などの専門家に相談することが重要であること
借地権での家づくりは、土地を所有する場合とは違う注意点や専門的な知識が求められます。
この記事で得た情報を踏まえ、ご自身のライフプランや予算と照らし合わせながら、専門家に相談するなど、具体的な検討を始めてみてはいかがでしょうか。
それが、将来の後悔を防ぎ、納得のいくマイホーム実現への確かな一歩につながります。