不動産査定後でも、媒介契約を結ぶ前であれば断って問題ありません。断るときは、感謝を添えたうえで「今回は仲介を依頼しません」「今後の連絡は不要です」とメールで明確に伝えてください。
メールであれば断った記録が残る点も有利です。
宅建業法施行規則では、相手方が契約しない意思や勧誘を希望しない意思を示した後に勧誘を続ける行為は禁止されているため(再勧誘の禁止)、メールの記録は後々のエビデンスになります。
また、不動産査定後の断りに費用や違約金はかからず、媒介契約前であれば特に問題はありません。
この記事ではその背景をわかりやすく説明し、また「こんなふうに断るのがおすすめ」という例文も掲載しています。
監修者プロフィール:立石秀彦(アップライト合同会社)。宅地建物取引士。沖縄県で不動産会社を約10年間経営・売却後、複数の不動産メディアを運営。不動産会社の立場・ユーザーの立場、双方で一括査定サービスを実際に利用した経験を持ちます。
不動産査定をしたが売却を断ることに問題はない

不動産会社に査定を依頼した後でも、媒介契約(ばいかいけいやく)を結ぶ前であれば、断っても問題はありません。
査定を依頼したからといって、その会社と契約する義務まではないからです。査定依頼はあくまで価格を知るための情報収集であり、正式な売却依頼とは異なります。
むしろ、よくわからないまま媒介契約(仲介契約)をしてしまうほうが問題でしょう。
査定依頼と媒介契約は別物
不動産売却における「査定依頼」と「媒介契約」は、全く異なる段階の行為です。
査定依頼は、所有する不動産がいくらで売れそうか、専門家の意見を聞くための情報収集段階で行います。
一方で「媒介契約」とは、不動産会社に買主を探すための売却活動を正式に依頼し、成約した際の仲介手数料などを約束する契約を指します。
媒介契約を締結するまでは、売主様に費用支払いの義務や、特定の会社に売却を任せる義務は一切発生しません。
つまり、査定書を受け取った段階では、複数の会社を比較検討し、気に入らなければ自由に断る権利があるのです。
断る際に詳細な理由は伝えなくてもよい
断りの連絡を入れる際に、詳細な理由を伝える必要はありません。
「他社にお願いすることにしました」「今回は売却を見送ることにしました」など、理由はごく簡潔に伝えるだけで十分です。
不動産会社の担当者も、複数の会社が比較検討されることは承知しています。
査定依頼のすべてが契約に至るわけではないため、断られること自体は日常的な業務の一部です。
かえって複雑な理由を述べると、引き止めのための提案を受けるきっかけになり、話が長引く可能性もあります。
早めの連絡が双方のため
依頼しないと決めた場合は、できるだけ早く連絡を入れるのがマナーです。
連絡をしないままでいると、不動産会社はまだ検討中だと判断し、状況確認のための電話やメールを送り続けることになります。
例えば、査定結果を受け取ってから1週間以内を目安に連絡をすれば、不動産会社も無駄な営業活動をせずに済みます。
早めに意思表示をすることが、お互いの時間を大切にすることにつながります。
断り方の基本構成「感謝・結論・理由」

不動産会社に断りの連絡を入れる際は、要点を簡潔に伝えることが重要です。
長々と話す必要はなく、「感謝」「結論」「理由」という決まった型に沿って伝えることで、相手に失礼なく、かつ明確に意思を伝えられます。
この構成で伝えれば、相手も状況をすぐに理解でき、スムーズに手続きを終えられます。
まずは査定への感謝を表明
断る連絡だからといって、いきなり本題に入るのは考えもの。
もしかしたらいずれその会社にお世話になるかもしれませんから、査定のために時間と労力を割いてくれたことへの感謝を伝えておきましょう。
「先日はお忙しい中、査定していただきありがとうございました」といった一文を添えるだけで、かなり印象がかわります。
たとえその会社に売却を任せなかったとしても、後にいい買主を見つけてきてくれる可能性はありますから、礼節をもって断るのがベストでしょう。
最初に断るという結論を伝える
感謝を伝えた後は、「今回は他社に依頼することにしました」や「今回は売却を見送ることにしました」といった結論を最初に伝えます。
曖昧な表現で濁してしまうと、相手に期待を持たせてしまい、結果的に何度も営業電話がかかってくる原因になります。
遠回しな言い方はせず、はっきりと断りの意思を示すことが、お互いのためになります。
理由は簡潔で問題ない
断る理由を詳細に説明する必要はありません。
「諸般の事情により」や「家族と相談した結果」など、簡潔なもので十分です。
不動産会社も1日に何件もの査定や問い合わせに対応しており、断られることには慣れています。
詳細な理由がないからといって、失礼にあたることはありません。
個人的には、他社に決めたなら「他社様で売り出すことにしました」とはっきり伝えるのがベストです。
今後の連絡不要も付け加える
断りの意思を伝えたら、最後に「今後の営業連絡は不要です」とはっきり伝えることが大切です。
この一言がないと、「また時期を見て連絡しよう」と判断され、数ヶ月後に再び連絡が来る可能性があります。
宅地建物取引業法では、契約しない意思を示した相手への再勧誘は禁止されています。ちゃんとした不動産会社ならその規定を知っていますから、その後に重ねて営業することはありません。
状況別に見る断り方のメール・電話例文

不動産査定を断る際は、今後の関係性を考慮しつつ、明確な意思表示をすることが何よりも大切です。
これから紹介する例文を参考に、ご自身の状況に合わせて内容を調整してください。
他社に依頼する場合
他社に依頼する旨を伝えることは、決して失礼にはあたりません。
不動産会社も査定が比較検討の段階であることは理解しているため、正直に伝えて大丈夫です。
以下は、他社に仲介を依頼することにした場合のメール例文です。
件名:【(あなたの氏名)】不動産査定のお礼とご連絡
株式会社〇〇 不動産事業部
〇〇様
お世話になっております。
先日は、〇〇(物件の地名など)の不動産査定につきまして、ご丁寧に対応いただき誠にありがとうございました。
いただいた査定結果や販売戦略などを参考に、家族とも慎重に検討を重ねました結果、誠に恐縮ではございますが、今回は他社様に仲介をお願いすることにいたしました。
〇〇様には、貴重なお時間を割いていただいたにもかかわらず、このようなご連絡となり大変申し訳ございません。
今後のご連絡につきましては、大変恐縮ながらご遠慮いただけますと幸いです。
末筆ながら、貴社の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。
—
氏名:〇〇 〇〇
住所:〒〇〇〇-〇〇〇〇 〇〇県〇〇市〜
電話番号:XXX-XXXX-XXXX
メールアドレス:〇〇@〇〇.com
—
感謝の気持ちを伝えたうえで結論を述べると、相手も納得しやすくなります。
売却そのものを見送る場合
家庭の事情や市場の動向を見て、売却自体を一旦中止するという決断も珍しくありません。
その場合も、不動産会社へはっきり連絡を入れるのがマナーです。
以下は、売却を見送る際のメール例文です。
件名:【(あなたの氏名)】不動産査定のお礼と売却見送りのご連絡
株式会社〇〇 不動産事業部
〇〇様
お世話になっております。
先日は、〇〇(物件の地名など)の不動産査定にご対応いただき、誠にありがとうございました。
査定いただいた内容をもとに家族で話し合った結果、諸事情により、今回は不動産の売却を見送るという結論に至りました。
〇〇様には、親身にご相談に乗っていただいたにもかかわらず、大変申し訳なく存じます。
今後のご連絡はご遠慮いただけますようお願い申し上げます。
また将来、売却を検討する機会がございましたら、その節は改めてご相談させていただけますと幸いです。
—
氏名:〇〇 〇〇
住所:〒〇〇〇-〇〇〇〇 〇〇県〇〇市〜
電話番号:XXX-XXXX-XXXX
メールアドレス:〇〇@〇〇.com
—
再び売却を検討する可能性に触れることで、柔らかい印象を与えられます。
一括査定で複数社に断る場合
一括査定サービスを利用した場合、依頼先以外すべての会社に断りの連絡を入れる必要があります。
比較検討が前提のサービスなので、断ること自体に気後れする必要はありません。
以下の例文をベースに、各社へ送りましょう。
件名:【(あなたの氏名)】不動産一括査定のお礼とご連絡
株式会社〇〇 不動産事業部
〇〇様
お世話になっております。
先日、「〇〇(利用した一括査定サイト名)」経由で不動産査定をお願いしました〇〇です。
この度は、迅速にご対応いただきありがとうございました。
ご提案いただいた内容を含め、各社様の情報を比較検討させていただきました結果、誠に勝手ながら、今回は他社様と話を進めさせていただくことになりました。
つきましては、今後のご連絡はご遠慮いただけますと幸いです。
お忙しい中、ご対応いただきましたこと、心より感謝申し上げます。
—
氏名:〇〇 〇〇
住所:〒〇〇〇-〇〇〇〇 〇〇県〇〇市〜
電話番号:XXX-XXXX-XXXX
メールアドレス:〇〇@〇〇.com
—
手間はかかりますが、一社ずつ会社名と担当者名を書き換えて連絡することで、誠実な対応ができます。
電話で断る場合の基本フレーズ
メールを送っても電話がかかってくる場合や、電話で断りたいと考える方もいるでしょう。
電話で断る際は、結論を短く簡潔に伝えるのがコツです。
会話の流れとフレーズ例をまとめました。
| 話者 | フレーズ例 |
|---|---|
| あなた | お世話になっております。先日、〇〇の査定をお願いいたしました〇〇です。ご担当の〇〇様はいらっしゃいますか |
| 担当者 | はい、〇〇です。いつもお世話になっております。その後のご検討状況はいかがでしょうか |
| あなた | 先日はお忙しい中、査定していただきありがとうございました。大変申し上げにくいのですが、今回は他社様にお願いすることにいたしました |
| あなた | (理由を聞かれた場合)査定額や販売プランなどを総合的に検討した結果、家族で話し合って決めました |
| あなた | 〇〇様にはとても丁寧にご対応いただき感謝しております。つきましては、今後の営業に関するご連絡はご遠慮いただけますと幸いです |
| あなた | 本日はお礼とご報告のためお電話いたしました。それでは、失礼いたします |
電話では、相手に引き留める隙を与えないよう、要件を伝えたらこちらから会話を終えるのがポイントです。
査定後に断っても費用はかからない

「査定してもらったのに断ったら、何か費用を請求されないだろうか」と心配になりますよね。
その点は、ご安心ください。
媒介契約を結ぶ前であれば、原則として費用はかかりません。
不動産会社との間で「媒介契約」を締結していない限り、売主には支払い義務が発生しないのが基本です。
ただし、ご自身で特別な調査を依頼した場合など、一部例外もあります。
ここでは、費用が発生するケースとしないケースの境界線を確認しておきましょう。
机上査定・訪問査定は原則無料
机上査定や訪問査定は、不動産会社が売却の依頼を獲得するための営業活動の一環です。
そのため、査定書の作成や提示にかかる費用を売主へ請求することはありません。
不動産仲介業の報酬は、売買契約が成立した際に受け取る「仲介手数料」が基本です。
査定の段階では、まだ契約に至っていないため、ほとんどすべての不動産会社が無償で対応してくれます。
査定結果を聞いた後で、売却活動を依頼しないと決めても、費用を心配する必要はありません。
媒介契約前なら違約金はなし
費用面で最も重要な境界線は「媒介契約」です。
媒介契約とは、不動産会社に自物件の売却活動を正式に依頼する契約のことで、査定依頼とは全く異なります。
査定を依頼し、結果の説明を受ける段階は、あくまで売却を検討しているに過ぎません。
この段階で断りを入れても、契約違反にはあたらないため、違約金やキャンセル料が発生することはないです。
一般的には媒介契約後に解約した場合にも違約金の請求を行わないことが多いです。詳しくは後述します。
特別な調査依頼は費用発生の可能性
通常の査定は無料ですが、売主が個別の要望に基づいて、査定範囲を超える詳細な調査を依頼した場合は、別途費用が発生することがあります。
これらの調査は、不動産会社が事前に「別途費用がかかりますが、実施しますか?」と売主に確認し、承諾を得てから着手するのが一般的です。
知らぬ間に費用が発生していることはまずありませんが、特殊な依頼をする際は事前に確認しておくと安心です。
| 調査の種類 | 内容 |
|---|---|
| 確定測量 | 隣地との境界を確定させるための測量 |
| 建物状況調査(ホームインスペクション) | 建物の基礎や外壁などの劣化・不具合を専門家が調査 |
| 不動産鑑定評価 | 不動産鑑定士による、より詳細で公的な価値の評価 |
| 特殊な権利関係の調査 | 弁護士や司法書士への依頼が必要な複雑な調査 |
もし、査定依頼の際に不動産会社から上記のような調査を提案された場合は、その必要性と費用について納得のいくまで説明を求めましょう。
媒介契約後に断る場合は契約内容の確認を

媒介契約を締結した後に解約を申し出る場合は、査定段階の断り方とは全く状況が異なります。
この段階では、手元にある媒介契約書の内容がすべてです。
契約の種類によって解約のルールやペナルティの有無が変わるため、まずは契約書をしっかり確認することがトラブルを避ける第一歩となります。
| 契約の種類 | 中途解約のしやすさ | 違約金の有無 | 実費請求の可能性 |
|---|---|---|---|
| 一般媒介契約 | 比較的容易 | 原則なし | △(特約による) |
| 専任・専属専任媒介契約 | △(要件あり) | ◯(発生する可能性あり) | ◯(発生する可能性あり) |
安易に解約を伝えるのではなく、契約書に記載された解除の条件や費用に関する条項を読み解いたうえで、慎重に行動する必要があります。
一般媒介契約の中途解約
一般媒介契約は、複数の不動産会社と同時に契約できる自由度の高い契約形態です。
そのため、他の契約形態に比べて売主からの申し出による中途解約も比較的しやすいといえます。
法律上、売主はいつでも一般媒介契約を解除できます。
ただし、契約書に「解約の申し出は書面にて行う」といった特約が設けられている場合があるため、契約書に記載された手続きに従いましょう。
他社で買主が見つかったなど、契約を続ける必要がなくなった場合は、速やかに解約の意思を伝えることが、不動産会社の無駄な販売活動を止めることにもつながります。
専任・専属専任媒介契約の中途解約
専任媒介契約・専属専任媒介契約は、1社の不動産会社にのみ仲介を任せる契約形態です。
不動産会社はレインズ(指定流通機構、不動産会社間の物件情報ネットワーク)への物件登録や定期的な業務報告が義務付けられ、手厚い販売活動が期待できる反面、売主都合による一方的な解約には制約があります。
不動産会社の落ち度がないにもかかわらず、売主の自己都合で契約期間中に中途解約する場合、約定報酬額(仲介手数料)に相当する金額を上限とした違約金を請求される可能性があります。
不動産会社の販売活動に不満がある場合は、まずその内容を具体的に伝え、改善を求めるのが基本的な流れです。
それでも状況が変わらない場合は、契約違反を理由に解除できるか、契約書の条項を再確認しましょう。
販売活動開始後の実費請求
専任・専属専任媒介契約の中途解約で特に注意が必要なのが、販売活動にかかった実費の請求です。
これは違約金とは別に発生する費用であり、多くの媒介契約書に費用償還に関する条項が記載されています。
請求される可能性がある費用には、ポータルサイト(SUUMOやHOME’Sなど)への広告掲載料、特別なオープンハウスの開催費用、購入希望者の遠隔地への案内にかかった交通費などが含まれます。
請求額の上限は約定報酬額(仲介手数料)の範囲内と定められていますが、すでに数十万円の費用が発生しているケースも考えられます。
解約時に費用を請求された際は、必ず費用の内訳がわかる明細書の提出を求め、どの活動にいくらかかったのかを確認し、その妥当性を判断することが重要です。
しつこい営業が続く場合の対処法

何度断っても営業が続く場合、毅然とした態度で対応することが大切です。
感情的になる必要はありませんが、契約する意思がないことを明確に伝える必要があります。
法的な知識も備えておくことで、冷静に対処できます。
拒絶の意思を改めて伝える
しつこい営業を止める第一歩は、「今後の連絡や営業活動は一切不要です」と、はっきりと拒絶の意思を伝えることです。
曖昧な返事は相手に期待を持たせてしまうため、「検討します」「またこちらから連絡します」といった言葉は避けましょう。
メールであれば「本書面をもって、今後のご連絡は一切お断りいたします」と一文を添えるだけで、明確な意思表示となります。
この一言で、ほとんどの不動産会社の営業は止まります。
電話やメールの履歴を保存
万が一、意思表示をした後も連絡が続く場合に備え、やり取りの記録をすべて保存しておくことがご自身の身を守る証拠となります。
いつ、どの担当者から、どのような内容の連絡があったかを記録しておきましょう。
電話であれば着信履歴のスクリーンショットや通話内容のメモ、メールであればフォルダ分けして保護しておくことが有効です。
特に、「連絡不要」と伝えた日時がわかる記録は、後の相談時に重要な情報になります。
宅建業法の再勧誘禁止
不動産取引のルールを定めた宅地建物取引業法では、消費者が契約をしない意思を示した後の再勧誘を禁止しています。
これは法律で定められた不動産会社の義務です。
具体的には、宅地建物取引業法施行規則第16条の12第1号のニにおいて、契約の締結を勧誘する際、相手方が契約を締結しない旨の意思を表示したにもかかわらず勧誘を継続することが禁じられています。
このルールを知っておくだけでも、冷静に対応する助けになります。
都道府県の宅建指導課へ相談
明確に断っても勧誘が止まらない悪質なケースでは、公的な相談窓口を利用するという最終手段があります。
各都道府県の庁舎内には、不動産会社を監督する「宅地建物取引業指導課」といった部署が設置されています。
ここへ相談する際は、保存しておいた電話やメールの履歴が客観的な証拠として役立ちます。
専門の担当者が不動産会社への行政指導などを含めて対応を検討してくれるため、一人で抱え込まずに相談しましょう。
不動産会社を断ることは悪いことではない

不動産査定の後に断りの連絡を入れることについて、罪悪感を感じる必要は一切ありません。
大切なのは、売主様ご自身が心から納得して、大切な不動産の売却を任せられる会社を選ぶことです。
断ることは、そのための自然なプロセスの一部といえます。
比較検討は売主の権利
不動産を売却する際、複数の会社を比較検討するのは売主様に与えられた当然の権利です。
査定依頼は、正式な売却依頼である媒介契約とは全く異なります。
実際に、多くの方が平均して3社から5社程度の査定結果や販売戦略を比較し、ご自身の不動産の適正な価値を見極めながら、最も信頼できるパートナーを探しています。
そのため、査定額や担当者の対応に納得がいかなければ、気兼ねなく断って問題ありません。
納得できる会社選びの一環
不動産売却は、担当者との相性や信頼関係が、売却の成功を大きく左右します。
査定後の説明やその後の連絡のやり取りで、もし「少し強引な印象を受ける」「質問への回答が分かりにくい」と感じたなら、その直感を大切にしてください。
不動産売却は数ヶ月から時には1年以上の長い期間にわたって担当者と連携する活動です。
だからこそ、査定後に断るという判断は、心から信頼できる不動産会社を見極めるための重要なステップなのです。
断ることは売却意思の表示
依頼しないと決めた会社へ断りの連絡をすることは、「媒介契約(売却活動を正式に依頼する契約)を結ぶ意思がありません」とはっきりと示すための大切なコミュニケーションです。
もし返事を曖昧にしたり、連絡をそのままにしたりすると、不動産会社は「まだ検討の余地がある」と判断し、継続して電話やメールでの営業活動を行う可能性があります。
はっきりと断ることで、お互いの時間を無駄にすることなく、ご自身の売却活動に集中できる環境を作ることにつながります。
売却を続けるなら査定根拠と販売戦略で不動産会社を選ぶ

不動産会社を断ることは、売却活動の終わりを意味しません。
むしろ、より信頼できるパートナーを見つけるための新しいスタートです。
査定額の高さに目を奪われるのではなく、なぜその査定額になったのかという根拠と、どのように売却を進めるかという販売戦略で不動産会社を選び直すことが大切になります。
ここからは、売却を成功に導くために、どのような基準で不動産会社を再選定すべきか、4つの視点から解説します。
査定額の高さだけで決めない
査定額とは、「この価格で売れる可能性が高い」という不動産会社の意見であり、売却価格を保証するものではありません。
高すぎる査定額は、媒介契約を結ぶためだけの「釣り価格」である可能性も考慮に入れる必要があります。
実際にその価格で売れなければ、数ヶ月後に値下げを提案されることになり、かえって売却期間が長引く失敗につながるのです。
| 確認するポイント | 具体的な内容 |
|---|---|
| 査定根拠の明確さ | 周辺の成約事例や市場動向に基づいているか |
| 価格設定の幅 | 挑戦的な価格と現実的な売却価格の両方が示されているか |
| リスクの説明 | 売れ残った場合の値下がり幅や期間について言及があるか |
提示された査定額に一喜一憂せず、その金額に至った根拠を冷静に確認することが、後悔しない会社選びの第一歩です。
担当者の説明力と誠実さの確認
不動産売却は、担当者との二人三脚で進める活動です。
そのため、査定根拠や販売戦略をわかりやすく説明してくれるか、こちらの質問に誠実に答えてくれるかという点は、非常に重要な判断基準になります。
例えば、査定書の内容について質問した際に、専門用語を並べるのではなく、地図やグラフを使いながら丁寧に解説してくれるかどうかを確認しましょう。
売主の不安に寄り添う姿勢は、信頼関係を築くうえで欠かせません。
| チェック項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 説明のわかりやすさ | 専門用語を使わず、売主の目線で話してくれるか |
| 質問への対応 | どんな質問にも面倒くさがらず、真摯に答えてくれるか |
| メリットとデメリット | 物件の長所だけでなく、短所やリスクも伝えてくれるか |
| 連絡の速さと丁寧さ | メールや電話の返信が迅速かつ丁寧か |
最終的に売却を任せるのは「会社」ですが、実際にやり取りするのは一人の「担当者」です。
この人になら大切な資産を任せられる、と感じられる相手を選びましょう。
販売戦略の納得感で比較する
販売戦略とは、あなたの不動産を「誰に」「いつまでに」「どのようにして」売るかという具体的な計画のことです。
例えば、「近隣の賃貸マンションに住むファミリー層」をターゲットに定め、SUUMOやHOME’Sといった大手ポータルサイトへの掲載に加え、週末にオープンハウス(内覧会)を実施するなど、物件の特性に合わせた戦略が提案されるかを確認します。
| 販売戦略のポイント | 確認内容 |
|---|---|
| ターゲット設定 | 物件の特性に合った購入者像が明確か |
| 広告媒体 | SUUMO、HOME’S、at homeなどのポータルサイトやチラシの活用法 |
| 販売活動 | オープンハウスの開催頻度や、レインズ(不動産流通標準情報システム)への登録タイミング |
| 売却スケジュール | 売出開始から成約までの想定期間と、価格見直しのタイミング |
各社の販売戦略を比較し、最も納得感のある提案をしてくれた会社を選ぶことが、早期・高値売却につながります。
大手の安心感も選択肢
もし担当者の説明や販売戦略に決め手を欠く場合、全国的な知名度と豊富な取引実績を持つ大手不動産会社を比較検討の候補に入れるのも一つの方法です。
例えば、三井のリハウスのような大手企業は、全国に広がる店舗ネットワークを活かした集客力や、長年蓄積されたデータに基づく的確な相場分析に強みがあります。
教育制度が整っているため、担当者の対応品質が安定している傾向にあるのも特徴です。
| メリット | 具体的な内容 |
|---|---|
| 豊富な取引実績 | 蓄積されたデータに基づく精度の高い査定 |
| 広いネットワーク | 全国規模での購入希望者へのアプローチ |
| 充実したサポート | 売却後の税務相談や瑕疵保険などの付帯サービス |
| ブランド力 | 購入希望者からの信頼感による集客効果 |
特に売却経験が少なく不安な方にとっては、大手ならではの組織力とサポート体制が、心強い味方になることも多いのです。
よくある質問(FAQ)

- 訪問査定に来てもらった後だと、さすがに断りにくいのですが…
-
訪問査定も、媒介契約(ばいかいけいやく)を結ぶ前の大切な判断材料の一つです。
不動産会社も、訪問査定が必ずしも契約に結びつくわけではないと理解しています。
査定に時間と労力を割いていただいたことへの感謝を丁寧に伝えれば、失礼にあたることはありませんので、ご安心ください。
- 査定額が一番高かった会社を断ってもよいのでしょうか?
-
はい、問題ありません。
査定額はあくまで売却の「予想価格」であり、その金額での売却を保証するものではないのです。
大切なのは、その査定額に至った明確な査定根拠や、ご自身の物件に合った販売戦略が提案されているかです。
金額の高さだけで判断せず、総合的に信頼できると感じた会社を選ぶことが重要になります。
- 断りのメールを送ったのに、電話がかかってきた場合はどう対応すればよいですか?
-
電話に出てしまった場合でも、慌てる必要はありません。
「先日メールでお伝えしました通り、今回は見送らせていただきます」と、簡潔に同じ結論を繰り返しましょう。
もし担当者が引き留めようとしても、「申し訳ありませんが、決定事項ですので」と毅然とした態度で伝え、今後の連絡は不要である旨を改めて口頭で伝えることが大切です。
- 一括査定サイトで複数の会社に断るのが面倒です。無視してもよいですか?
-
無視することはおすすめできません。
連絡をしないままでいると、不動産会社はまだ検討中だと判断し、状況確認の電話やメールが続いてしまう可能性があります。
記事で紹介しているようなメールの例文をテンプレートとして保存し、会社名と担当者名だけを書き換えて送信するのが、最も効率的で確実な一括査定の断り方です。
- 「他社に決めた」と伝えたら、どの会社に決めたか聞かれますか?
-
担当者によっては、今後の営業の参考にするために質問されることがあります。
しかし、あなたが答える義務は一切ありません。
「大変恐縮ですが、その点についてはお答えできかねます」と丁重にお断りすれば、それ以上追及されることはほとんどないです。
正直に他社依頼の事実を伝えつつ、詳細については回答を控える形で問題ありません。
- 今回は売却を見送りますが、将来また同じ会社に相談してもよいのでしょうか?
-
もちろんです。
不動産査定後、売却見送りとなるケースは珍しくありません。
今回、礼儀正しく断りの連絡を入れておけば、将来的に売却を再検討する際に気兼ねなく相談できます。
不動産会社側も、一度接点のあったお客様として、むしろ歓迎してくれるケースが多いです。
まとめ

この記事では、不動産査定後の失礼のない断り方を、具体的な例文とともに解説しました。
大切なのは、査定後に断ることは、より納得できる不動産会社を選び直すための自然なプロセスだと理解することです。
- 媒介契約前なら費用や違約金の心配は不要
- 「感謝・結論・今後の連絡不要」を簡潔に伝える
- メールでの連絡はトラブル防止の記録になる
- 次は査定額の根拠と販売戦略で会社を比較検討
依頼しないと決めた会社には、この記事の例文を参考に、できるだけ早く連絡を入れましょう。
気まずい気持ちを解消し、ご自身の不動産売却を本当に任せられるパートナー探しを、改めてスタートさせてください。

