不動産の手付金はなぜ現金?理由と安全な支払い方法5選

不動産売買の手付金は、法律で「必ず現金で支払わなければならない」と決まっているわけではありません。

ただし実務上は、大抵の場合現金で払うという運用になっています。

当記事では、実務上「手付金は現金で用意してください」といわれる理由から、振込で支払う場合の注意点、そして売主・買主それぞれの立場で安全に支払い・受け取りをするための確認事項を詳しく解説します。

手付金の額や支払い方法で失敗しないよう、契約前に不動産会社へ確認すべきポイントを理解し、安全な売買契約を締結できるようになります。

目次

手付金はなぜ現金で支払うことが多いのか

不動産売買の手付金は、法律で支払方法が定められているわけではありません。

しかし、実務上の慣習から契約と同時に確実な授受を完了させるために、現金が求められるケースが多く見られます。

振込も可能ですが、現金授受には特有の理由があるのです。

これから、手付金が現金で求められる4つの主な理由を詳しく解説します。

契約と同時に授受しやすい実務

不動産売買契約では、契約書への署名押印と手付金の授受を同時に行うのが基本的な流れです。

これは「契約したにもかかわらず、手付金が支払われない」といった事態を防ぎ、契約の成立を双方がその場で確認するために重要なプロセスとなります。

現金であれば、買主から売主へ直接手渡すことで支払いが完了します。

これにより、契約の成立が明確になり、その後の手続きを円滑に進められるというメリットが生まれます。

土日祝日の契約と着金確認の問題

不動産の売買契約は、売主と買主の都合が合いやすい土日祝日に行われることがよくあります。

平日は仕事で時間が取れない方も安心して契約に臨めるように、不動産会社が日程を調整するからです。

しかし、土日祝日は金融機関の窓口が閉まっており、振込手続きをしてもすぐに入金が反映されない場合があります。

着金が確認できなければ、売主は手付金を受け取れたかどうかがわからず、契約を無事に成立させてよいか判断できません。

その場で受け渡しが完了する現金は、こうした着金確認のタイムラグをなくすための確実な方法なのです。

契約前振込のトラブル回避

安全を期すなら、契約書に署名押印する前に手付金を振り込むのは慎重に判断する必要があります。

万が一、契約直前に売主の事情で売却が中止になったり、より高い金額を提示する別の買主が現れたりした場合、振り込んだ手付金の返金をめぐってトラブルに発展するおそれがあるからです。

もちろん、契約が成立しなければ売主は手付金を返還する義務を負います。

しかし、返還手続きがスムーズに進まない可能性も否定できません。

契約の成立と支払いを同時に行う現金授受は、このような契約前の金銭トラブルを回避する目的でも選ばれています。

手付金の後払いは宅建業法違反の可能性

売主が不動産会社の場合、手付金の後払いや分割払いを認めることは宅地建物取引業法(宅建業法)で禁止されている「信用の供与」にあたる可能性があります。

これは、不動産会社が手付金を貸し付けるなどして、消費者に購入を無理に促す行為を防ぐためのルールです。

例えば「手付金が足りなくても、後払いでいいので契約しましょう」と持ちかけることはできません(不動産会社が売主の場合)。

個人間売買ではこの法律が直接適用されるわけではありませんが、契約の効力を明確にするためにも、契約と同時に支払いを完了させることが不動産取引の原則となっています。

法律上の手付金の扱いは現金限定ではない

不動産売買契約における手付金の支払い方法について、法律上の決まりはありません。

当事者である売主と買主が合意すれば、現金以外の方法も選択できます。

その仕組を理解するために、まず手付金の法的な意味を再確認しておきましょう。

支払方法に法的な決まりはない

手付金の支払い方法に関して、民法や宅地建物取引業法には「現金で支払わなければならない」という直接的な規定は存在しません。

法律は契約当事者の意思を尊重するため、支払い手段を限定していないのです。

そのため、不動産会社から「法律で現金と決まっています」と説明された場合でも、それは慣習に基づいた話である可能性が高いです。

契約の当事者が合意すれば、銀行振込など他の方法を選択しても法的に問題はありません。

当事者の合意があれば振込も可能

手付金の支払い方法を現金以外にするためには、売主と買主、双方の合意が不可欠です。

双方が納得していれば、銀行振込も有効な支払い手段となります。

特に、物件価格が数千万円を超えるような高額な取引や、遠方に住む当事者間の契約では、安全性や利便性の観点から振込が選ばれるケースも増えています。

振込にする場合は、誰がいつまでにどの口座へ振り込むのか、着金確認をどう行うのかといったルールを事前に決め、契約書に明記することがトラブル防止につながります。

手付解除は民法第557条の規定

手付金は、契約の成立を証明すると同時に「解約手付(かいやくてつけ)」としての性質を持つと民法で定められています。

解約手付とは、契約の相手方が履行に着手する(例:売主が引渡しの準備を始める)までは、契約を解除できる権利を確保するためのお金です。

具体的には、民法第557条に基づき、買主は支払った手付金を放棄することで、売主は受け取った手付金の2倍の額を現実に提供することで、契約を一方的に解除できます。

このルールは支払い方法が現金でも振込でも変わりません。

重要なのは手付金が確かに授受された事実であり、支払い手段によって法的な意味合いが左右されることはないのです。

手付金と申込証拠金の違い

不動産取引では「手付金」のほかに「申込証拠金」という言葉が出てくることがあります。

この二つは支払うタイミングや法的な意味合いが全く異なるお金です。

違いを理解しないまま手続きを進めると、思わぬトラブルにつながることもあります。

手付金は契約を法的に拘束する重要なお金であり、申込証拠金はあくまで交渉段階での意思表示です。

それぞれの役割を正しく理解し、今支払おうとしているお金がどちらに該当するのかをしっかり確認しましょう。

契約成立を証明する手付金

手付金とは、不動産の売買契約が正式に成立した証として、買主から売主へ支払われる金銭を指します。

この手付金は「解約手付」としての性質を持つことが一般的です。

解約手付とは、買主は支払った手付金を放棄すること、売主は受け取った手付金の倍額を買主へ支払うことで、相手方が契約の履行に着手するまでであれば契約を解除できるというものです。

このルールは民法第557条にも定められており、契約の安定性を高める重要な役割を担っています。

手付金の授受は、契約が単なる口約束ではないことを双方で確認する大切な手続きなのです。

購入意思を示す申込証拠金

申込証拠金とは、売買契約を結ぶ前に、買主が「この物件を購入したい」という真剣な意思を売主へ示すために預けるお金です。

預り金や買付証拠金と呼ばれることもあります。

このお金の目的は、他の希望者よりも優先的に交渉する権利を得ることにあります。

金額は5万円から10万円程度が一般的で、この時点ではまだ売買契約は成立していません。

そのため、売主との交渉がまとまらなかったり、買主の都合で契約を見送ったりした場合には、原則として全額返金されます。

ただし、返金のルールは事前に書面で確認しておくことが大切です。

手付金は売買代金への充当

手付金は、契約を解除する際に重要な意味を持ちますが、契約が解除されずに無事に取引が進んだ場合は、最終的に売買代金の一部として充当されます。

例えば、5,000万円のマンションの売買契約で手付金として200万円を支払ったとします。

この場合、最後の残代金決済の際には、差額の4,800万円と諸費用を支払うことになります。

手付金は、契約の保証金として支払った後に消えてしまうお金ではありません。

最終的には購入資金の一部となるため、全体の資金計画の中にしっかりと組み込んでおくことが重要です。

手付金を振込で支払う場合の注意点

手付金を銀行振込で支払う方法は、高額な現金を持ち歩くリスクを避けられる一方で、現金授受とは異なる注意点が存在します。

特に、契約書への条件明記と振込先の確認はトラブルを避けるために不可欠です。

これからご説明する4つのポイントを押さえ、安全な取引を心がけましょう。

契約書に振込条件を明記

手付金を振込で支払う場合は、いつまでに、誰が、どの口座へ振り込むのかを売買契約書に明記することが絶対に必要です。

口約束で進めてしまうと、後から「言った」「言わない」のトラブルに発展しかねません。

具体的には、「買主は売主に対し、本契約締結後、令和〇年〇月〇日午後〇時までに、下記指定口座へ手付金として金〇〇円を振り込む方法により支払う」といった形で、振込期限や口座情報を契約書に条項として加えます。

振込手数料をどちらが負担するのか(一般的には買主負担)も、あらかじめ決めておくとスムーズです。

振込先は売主本人名義か確認

振込先口座は、必ず物件の所有者である売主本人名義であるかを確認してください。

登記簿謄本(登記事項証明書)で所有者の氏名を確認し、振込先口座の名義人と一致しているかを確かめることが重要です。

仲介する不動産会社の口座や担当者個人の口座、売主の家族名義の口座への振込を求められた場合は、慎重な判断が求められます。

万が一、売主本人以外の口座へ振り込む特別な事情がある場合は、その正当な理由を確認し、売主からの委任状を必ず書面で受け取るようにしましょう。

契約前の安易な送金は危険

手付金の振込は、原則として売買契約書に双方が署名押印した後に行います。

契約が成立する前に送金してしまうと、万が一契約がまとまらなかった場合に、支払ったお金の返金をめぐってトラブルになるリスクがあります。

「物件を押さえるために先に」などと契約前の送金を促された場合でも、安易に応じるのは危険です。

契約と支払いのタイミングを合わせることが、安全な取引の基本となります。

契約日当日に、契約締結後にその場でインターネットバンキングを利用して送金する、といった段取りを事前に不動産会社と打ち合わせておくと安心です。

領収証または着金確認書の受領

振込が完了したら、売主から手付金の領収証を発行してもらうことを忘れないでください。

銀行が発行する振込明細票も送金の証拠になりますが、売主が確かに代金を受領したことを証明する正式な書類として、領収証は非常に重要です。

もし、売主側の事情ですぐに領収証が発行されない場合は、「手付金着金確認書」といった書面を代わりに取り交わす方法もあります。

受け取った書面には、受領金額、日付、但し書き(「〇〇マンション〇〇号室売買契約の手付金として」など)、売主・買主双方の氏名・住所が正確に記載されていることを確認しましょう。

買主が手付金を支払う前に確認しておくこと

手付金の支払いは、契約内容をすべて理解し、納得したうえで行うのが大原則です。

特に、署名押印する前に手付金を支払ってしまうと、後から「知らなかった」では済まされないトラブルに発展する可能性があります。

買主としてご自身の権利と財産を守るため、支払い前に必ず確認すべきポイントを解説します。

これから説明する4つのポイントを事前に確認することで、安心して手付金の支払いと契約締結に臨むことが可能です。

契約書と重要事項説明の内容

手付金を支払う前に、契約書と重要事項説明書の内容を必ず確認しましょう。

手付金の額、支払い方法、契約解除の条件(手付解除)などが、口頭での説明と一致しているかを自分の目で確かめることが重要です。

例えば、手付解除が可能な期間は「相手方が契約の履行に着手するまで」と定められていますが、この「履行の着手」が具体的にどのような行為を指すのか、あらかじめ不動産会社に確認しておくと安心できます。

契約書の内容に少しでも疑問があれば、署名・押印する前に必ず質問してください。

書面に記載された内容が、法的に有効な契約条件となります。

不明点や疑問点があれば、その場で質問し、納得できるまで説明を求めることが大切です。

売主と登記上の所有者の一致

手付金の支払先が、本当に物件の所有者であるかを確認することは、取引の安全性を確保するうえで欠かせません。

登記上の所有者と、契約書に記載された売主が同一人物であることを、登記簿謄本(全部事項証明書)で必ず確認してください。

不動産会社から登記簿謄本の写しを提示してもらい、氏名や住所が一致しているかを目で見て確かめます。

もし売主が複数いる共有名義の物件であれば、契約書には共有者全員の署名押印が必要です。

相続登記が未了の物件など、所有権が複雑なケースでは特に注意を要します。

万が一、所有者ではない人物に手付金を支払ってしまうと、取り戻すのが困難になるケースもあります。

基本的なことですが、最も重要な確認事項の一つです。

現金持参時の防犯対策

手付金を現金で持参する場合、最も気になるのが防犯面ではないでしょうか。

移動中の盗nanや紛失に備えて、事前の準備を徹底することが何よりも大切です。

数十万円から数百万円という大金を持ち歩くのは、誰にとっても不安なものです。

以下の対策を参考に、できる限りの備えをして契約に臨みましょう。

金融機関で現金を引き出す際は、周囲に不審な人物がいないかを確認するなど、細心の注意を払いましょう。

領収証の即時受け取り

現金で手付金を支払った際は、その場で必ず売主から領収証を受け取ります。

領収証は、手付金を支払ったことを証明する唯一の公的な証拠です。

領収証には、日付、金額(改ざん防止のため壱、弐、参などの大字(だいじ)を使用するのが望ましい)、但し書き(「〇〇様 売買物件の手付金として」など)、売主の署名・押印が正しく記載されているかを確認しましょう。

金額によっては収入印紙の貼付が必要となるので、そちらも確認ポイントです。

不動産会社が事前に用意していることがほとんどですが、万が一忘れられていた場合はその場で作成を依頼してください。

「後日郵送します」といった対応は避け、即時発行を求めることがトラブル防止につながります。

売主が手付金を受け取るときの注意点

手付金の受け取りは、売主にとって契約の安全性を確保する重要なプロセスです。

現金で受け取るか、振込で受け取るかによって、確認すべきポイントが異なります。

事前に流れを把握し、準備を整えておくことが大切です。

どちらの方法を選択するにしても、不動産会社と事前に受け取り手順を詳しく打ち合わせておきましょう。

契約当日に慌てることなく、確実な取引を進めることができます。

現金受領時の金額確認と保管方法

現金で手付金を受け取る際は、その場で金額に間違いがないかを確認し、その後の保管方法をあらかじめ決めておくことが重要です。

金額確認は、買主と不動産会社の担当者を含めた全員の目の前で行うのが確実です。

可能であれば、金融機関で用意される紙幣を束ねる帯封が付いた状態で受け取ると、枚数の確認がスムーズに進みます。

受け取った大金を持ち歩くのは盗難や紛失のリスクがあるため、契約を結ぶ場所の近くにある金融機関に、契約後すぐに入金できるよう計画を立てておくと安心です。

金額の相互確認をその場で徹底し、安全な保管計画を立てることで、現金ならではのリスクを減らすことができます。

振込受領時の着金確認体制

手付金を銀行振込で受け取る場合は、契約の場でリアルタイムに着金が確認できる体制を整える必要があります。

平日の日中に契約するのであれば、スマートフォンやノートパソコンからインターネットバンキングにログインし、その場で入金履歴を確認するのが最も確実な方法です。

もし土日祝日の契約で当日の着金確認が難しい場合は、契約書に「契約日の翌営業日午前中まで」といった振込期限を明確に記載する必要があります。

事前に不動産会社と着金確認の方法や時間について具体的にすり合わせておくことで、振込による手付金の授受を円滑に進めることが可能です。

領収証の作成と収入印紙の要否

手付金を受け取った証拠として、売主は買主に対して領収証を発行します。

領収証の書式は不動産会社が用意してくれるのが一般的です。

注意が必要なのは、収入印紙を貼る必要があるかどうかです。

不動産売買の領収証は、売買代金が5万円以上の場合、原則として収入印紙の貼付が必要です。

しかし、ご自身が住んでいたマイホームの売却など、個人が「営業」に関係なく資産を譲渡した対価の領収証は、印紙税が非課税とされています。

一方で、投資用物件の売却では課税対象となるケースが多いため、事前に不動産会社に確認しましょう。

領収証は金銭授受を証明する大切な書類です。

ご自身の売却が印紙税の課税対象になるかを確認したうえで、適切に準備を進めることが大切です。

手付金の額と契約の安定性

手付金の額は、契約の拘束力、つまり「契約がどれだけ安定するか」に直接影響します。

手付金の金額に法的な下限はありませんが、あまりに少額だと買主はわずかな負担で契約を解除できてしまい、売主にとって不安定な状態になります。

一般的に、不動産売買における手付金は売買代金の5%から10%程度で設定されることが多く、この水準であれば双方にとって契約を安易に解除しにくい重みとなります。

買主の資金計画だけでなく、売主として契約を確実なものにしたいという視点からも、不動産会社と相談しながら妥当な手付金額を設定することが、安全な取引の第一歩です。

売主が宅建業者の場合の手付金規制

個人間の不動産売買とは異なり、売主が宅地建物取引業者(不動産会社)で、買主が一般消費者の取引には、買主を保護するための特別なルールが設けられています。

これは専門知識を持つ事業者と個人の情報格差によるトラブルを防ぐためのものであり、宅地建物取引業法(宅建業法)によって厳しく定められています。

手付金の上限額や、万が一の倒産に備える保全措置など、個人間売買にはない規制について知っておくことが大切です。

これらのルールは、高額な不動産取引において、買主が不利な立場に置かれることを防ぐための重要な仕組みといえます。

手付金の上限は売買代金の20%以内

売主が宅建業者の場合、買主から受け取れる手付金の額は売買代金の20%(2割)以内と法律で定められています。

これは、宅建業法第39条に規定されているルールです。

例えば、4,000万円の物件を宅建業者から購入する場合、手付金の上限は800万円となります。

もし宅建業者が20%を超える手付金を要求してきた場合、それは法令違反にあたります。

この規制は、買主が高すぎる手付金の負担によって、本来行使できるはずの手付解除(契約のキャンセル)をためらうことがないようにするためのものです。

手付金等保全措置が必要なケース

手付金等保全措置とは、万が一、物件の引渡し前に売主である宅建業者が倒産してしまった場合でも、支払った手付金等が買主の手元に返還されるようにするための制度です。

これも宅建業法で定められた、買主を保護するための重要な仕組みです。

すべての取引で必要になるわけではなく、手付金等の額が一定の基準を超えた場合に義務付けられます。

例えば、完成済みの物件であれば、手付金等の額が売買代金の10%を超えるか、または1,000万円を超える場合にこの保全措置が必要になります。

契約時に、不動産会社からこの保全措置についてどのような方法(銀行による保証や保険事業者による保証保険など)が取られるのか、説明があるかを確認しましょう。

個人間売買とは異なるルール

これまで説明してきた「手付金の上限20%」や「手付金等保全措置」のルールは、あくまで売主が宅建業者である場合に適用されるものです。

個人の方が自宅などを売却する個人間売買には、これらの規制は直接適用されません。

個人間売買における手付金の額は、法的な上限はなく、売主と買主の合意によって自由に決めることができます。

ただし、実務上は売買代金の5%から10%程度で設定されることが一般的です。

買主が個人の場合、高額な手付金は契約のハードルを上げてしまうため、相場を大きく超える額に設定されることは稀です。

不動産取引を行う際は、売主が宅建業者なのか、それとも個人なのかを確認することが、適用されるルールを理解する第一歩になります。

手付貸与による契約誘引の禁止

宅建業法では、宅建業者が買主に対して契約を誘引するために「手付金を貸し付けます」「手付金は後払いや分割払いで構いません」などと信用の供与を行うことを禁止しています。

これは、手付金を用意できない買主を安易に契約させてしまうことを防ぐためのルールです。

もし不動産会社から「手付金が足りなくても契約できます」といった提案があった場合、その契約は慎重に判断する必要があります。

手付金は契約の安定性を保つための重要なお金であり、それを簡単に貸し付けるような提案は、買主の資金計画を軽視しているともいえます。

安易な契約は後のトラブルにつながるため、このような提案には応じないようにしてください。

手付金の支払いに不安があれば契約前に相談

不動産売買契約は、専門的な内容が多く、特に手付金の支払い方法については不安を感じやすいポイントです。

少しでも疑問があれば、契約書に署名・捺印する前に不動産会社へ相談することが最も重要になります。

契約を結んだ後では、条件の変更は困難です。

安心して取引を進めるためにも、納得できるまで説明を求めましょう。

不動産会社の説明力を測る機会

手付金の支払い方法や金額の根拠、授受の手順といった説明は、その不動産会社の専門性や顧客への配慮を判断する良い機会です。

「なぜ現金での支払いが望ましいのか」「振込にする場合、どのような流れになるのか」といった質問に対して、明確で分かりやすい回答ができる会社は信頼できます。

逆に、説明が曖昧だったり、質問をはぐらかしたりするようであれば、その会社との契約は慎重に考えるべきです。

しっかりとした説明は、安全な取引の第一歩となります。

査定額だけでなく契約条件も重要

不動産を売却する際、多くの方は査定額の高さに注目しがちです。

しかし、手付金の額や支払い方法、契約解除に関する取り決めといった売買契約の具体的な条件も、査定額と同じくらい重要です。

例えば、手付金が売買代金の5%~10%という一般的な水準から大きく外れている場合、その理由を確認する必要があります。

契約条件をしっかりと詰めずに進めてしまうと、後から契約が不安定になるリスクを高めてしまうのです。

査定額と契約条件の両面から取引全体をサポートしてくれる不動産会社を選ぶことが、最終的にご自身の利益を守ることにつながります。

安全な取引のための専門家への相談

仲介している不動産会社の説明を聞いても不安が解消されない場合は、契約を結ぶ前に第三者の専門家へ相談することも選択肢の一つです。

相談先としては、まず取引を依頼している不動産会社が窓口になりますが、セカンドオピニオンとして他の不動産会社に意見を求めることもできます。

また、法律的な観点からのアドバイスが必要な場合は、弁護士や司法書士といった専門家が頼りになります。

都道府県の宅地建物取引業担当課など、行政が設けている相談窓口もありますので、一人で抱え込まずに活用しましょう。

よくある質問(FAQ)

個人として自宅を売却します。手付金の領収書に収入印紙は必要ですか?

ご自身がお住まいだったマイホームの売却など、個人が「営業」に関係なく不動産を売却した場合、受け取る手付金の領収書は印紙税法上の非課税文書となり、収入印紙は不要です。

ただし、投資用マンションの売却など事業として行っている取引では課税対象となるため、事前に不動産会社へ確認すると安心です。

買主から手付金の支払いを分割にしてほしいと相談されました。応じてもよいですか?

個人間売買の場合、法律で手付金の分割払いが直接禁止されているわけではありません。

しかし、手付金は契約の安定性を担保する重要なお金です。

安易に分割払いを認めると、契約の拘束力が弱まるリスクを伴います。

なぜ分割払いを希望するのか理由を確認し、不動産会社を交えて慎重に判断することが大切になります。

売主です。手付金を受け取った後、買主の都合でキャンセルになりました。手付金は返金しなくてもよいですか?

はい、買主が自身の都合で契約を解除する場合、支払った手付金を放棄することになりますので、売主は受け取った手付金を返金する必要はありません。

これを「手付放棄」と呼びます。

ただし、住宅ローンの審査が通らなかった場合に契約を白紙に戻せる「住宅ローン特約」など、特約による解除の場合は手付金を全額返還しますので、契約書の内容確認が重要です。

手付金の額を相場より少なくすることは可能ですか?買主としてのリスクはありますか?

売主の合意があれば、相場より少ない手付金で契約することは可能です。

ただし、買主にとってのリスクとして、売主側から手付金の倍額を支払うことで契約を解除される「手付倍返し」をされやすくなる点があげられます。

手付金の額が少ないと、売主はより良い条件の買主が現れた際に、少ない負担で契約を解除できてしまいます。

現金での手付金支払いに不安があります。銀行振込に変更したいのですが、いつまでに相談すればよいですか?

銀行振込への変更を希望する場合は、できるだけ早く、売買契約の日程が決まった段階で不動産会社に相談してください。

売主の同意を得たり、契約書に振込先の口座情報や振込期限などの条項を追加したりする必要があるためです。

契約日直前の申し出では対応が難しいケースもあるため、早めに相談することで、関係者全員が安心して準備を進められます。

売主本人ではなく、仲介の不動産会社の口座に手付金を振り込むよう指示されました。問題ありませんか?

原則として、手付金は不動産の所有者である売主本人に支払います。

仲介会社が売主に代わって手付金を受領するには、売主からの正式な委任が必要です。

なぜ売主本人ではないのか理由を明確に確認し、納得できない場合は安易に振り込まないでください。

安全な取引のため、売主からの委任状を書面で確認することが重要になります。

まとめ

不動産の手付金は、法律で現金と決められているわけではなく、売主と買主が合意すれば銀行振込も可能です。

支払い方法が現金でも振込でも、安全な取引のためには契約内容や領収証の受け渡しなどを事前にしっかり確認することが最も重要になります。

手付金の額や支払い方法に少しでも不安を感じたら、必ず契約書に署名する前に不動産会社へ相談しましょう。

査定額の高さだけでなく、安全な契約条件まで丁寧に説明してくれる不動産会社を選ぶことが、安心して取引を終えるための鍵となります。

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この記事を作った人

不動産SEOを手がけるアップライト合同会社の編集チームです。本サイトではAIを活用して下調べや草案作成を行い、その後に人間が内容を確認して記事化しています。公開記事は、編集部による確認に加え、必要に応じて宅地建物取引士である立石秀彦が構成と内容をチェックしています。

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