【5ステップ】自分でやる抵当権抹消手続き|費用と流れをわかりやすく解説

住宅ローン完済後の抵当権抹消手続きは、登記申請手続きの中でも取り組みやすいものです。場合によっては、自分でで行うことも可能です。

その場合、手続きに必要な登録免許税は不動産1個につき1,000円。

この記事では、手続きの流れや必要書類を解説するとともに、状況に合わせて自分で進めるべきか、専門家に相談すべきかを判断するポイントをわかりやすく説明します。

監修者プロフィール:立石秀彦(アップライト合同会社)。宅地建物取引士。沖縄県で不動産会社を約10年間経営・売却後、複数の不動産メディアを運営。不動産会社の立場・ユーザーの立場、双方で一括査定サービスを実際に利用した経験を持ちます。

目次

抵当権抹消手続きは自分でできるのか

住宅ローンの完済後に行う抵当権抹消手続きは、司法書士に依頼せずご自身で行うことも可能です。

ただし、そのためには金融機関から受け取った書類がすべてそろっており、登記簿上の情報に変更がないことが重要な条件となります。

ご自身の状況がどちらに近いか、まずは下の表で確認してみましょう。

これらの条件を満たしている場合は、ご自身で手続きを進めやすい状況です。

一方で、1つでも当てはまらない項目があれば、追加の手続きが必要になるため、司法書士など専門家への相談を検討したほうがいいかもしれません。

司法書士に頼らず自分で登記するメリットは?

自分でで抵当権抹消手続きを行う最大のメリットは、司法書士へ支払う報酬を節約できる点です。

日本司法書士会連合会の2018年の調査によると、土地1筆・建物1棟の抵当権抹消登記を依頼した場合の全国平均報酬は13,821円でした。

この費用を抑えられるのは、ちょっとした節約につながります。ただ、それほど大きな金額ではなく、忙しいときにチャレンジするほどではないのが悩みどころでしょう。

また、手続きをスムーズに進めるためには、いくつかの条件がそろっている必要があります。

手続きの難易度を左右する点

手続きの難しさは、登記簿に記録されている所有者の情報と、現在の状況が一致しているかどうかで大きく変わります。

情報が一致していれば手続きは比較的シンプルですが、異なっている場合は追加の手続きが発生し、難易度が上がります。

ご自身で進められるか判断するために、以下の点を確認してみてください。

これらの項目にひとつも変更や問題がなければ、ご自身での手続きは進めやすいです。

もし該当する項目があれば、抵当権抹消の前提となる別の登記が必要になることがあります。

自分で進めるリスクの確認

自分で手続きを進める際には、いくつかのリスクが存在しています。

特に注意したいのは、書類の不備によって手続きが遅れ、不動産の売却など他の取引に影響が出てしまうことです。

登記申請書や添付書類に誤りがあると、法務局から補正(修正)の指示があり、再度法務局へ出向かなければなりません。

特に、不動産の売却を予定している場合、決済日(売買代金の支払日)までに抵当権抹消が完了しないと、買主への所有権移転ができず、最悪の場合、取引自体が頓挫する可能性もあります。

費用節約というメリットだけでなく、こういったリスクも理解したうえで、抹消登記を自分で進めるかどうかを判断してください。

住宅ローン完済後も抵当権が自動で消えない理由

ところで、「住宅ローンを完済したら抵当権は消えているだろう」と考えるかもしれません。確かに、抵当権は消えていますが、住宅ローンを完済したからといって、抵当権の登記が自動的に消えることはありません。

登記が残っていると、第三者から見たら「本当にローンを完済して、抵当権は消えているの?」という疑問が残ります。

ですから、法務局へ抹消登記を申請する必要があるわけです。

抹消しないと第三者に対抗できない

登記簿に抵当権が残ったままだと、その不動産にはまだ担保権がついているように見えてしまいます。

これは第三者(たとえば将来の買主など)に対して、不動産がきれいな状態であることを主張できない状態を意味します。

将来、その不動産を売却しようとしたり、新たに融資を受けるための担保にしようとしたりする際に、この抵当権の記録が障害となります。

買主は、他人の借金の担保がついたままの不動産を購入したいとは思いません。

スムーズな取引を実現するためにも、ローン完済後は抵当権を抹消し、誰が見ても権利関係が明確な状態にしておくことが大切です。

ローンが残っている場合の抹消登記

住宅ローン残債がまだあって、不動産を売ったお金で全額返済する場合は、実質的に司法書士さんに登記を依頼する以外の方法はありません。司法書士という専門家が「この取引の代金で確実に抵当権を抹消できます」と担保することで、取引が成立しているからです。

自分で手続きしやすいケース

抵当権抹消手続きは、条件がそろっていれば自分で進めることが可能です。シンプルな手続きで進められるのは、すでにローンを完済していて、書類も揃っていて、その他の登記に影響するような問題がないケース。なおかつ、時間に余裕があることも重要なポイントです。

住宅ローン完済直後の申請

住宅ローンを完済した直後は、手続きを進めるのに最も適したタイミングです。

完済から時間が経つと、金融機関から受け取った書類を紛失したり、自分自身の住所や氏名が変わったりする可能性が高まります。抵当権者の金融機関がなくなったり、合併したりという問題も考えられます。

完済後はやめに手続きを始めることで、将来発生そうな手間を避けられます。

金融機関の書類が完備している

金融機関から送られてくる抵当権抹消に必要な書類がすべてそろっている状態は、自分で手続きを進めるための大前提となります。

書類には、登記識別情報(または登記済証)や登記原因証明情報、金融機関からの委任状など、再発行が難しい重要なものが含まれています。

特に登記識別情報は紛失すると手続きが複雑になるため、受け取ったら厳重に保管してください。

これらの書類が一つでも欠けていると、法務局で申請を受け付けてもらえません。

まずは送られてきた封筒の中身をすべて確認しましょう。

登記簿上の住所・氏名に変更なし

登記簿に記載されている所有者の住所や氏名が、現在のものと一致している場合、手続きはシンプルに進められます。

もし引越しや結婚などで住所・氏名が変わっている場合、抵当権抹消登記の前提として、住所や氏名の変更登記を先に申請する必要があります。

この変更登記には、住民票の除票や戸籍の附票など追加の書類が必要になり、手間が増えてしまいます。

登記簿の情報は、法務局で登記事項証明書(登記簿謄本)を取得すれば確認できますので、現在の情報と相違ないか事前にチェックしておくと安心です。

相続が関係しない

不動産の所有者が存命中で相続が発生していないことも、自分で手続きを進めるための重要な条件です。

もし不動産の所有者が亡くなっている場合、抵当権を抹消する前に、亡くなった方から相続人へ名義を変更する「相続登記」を完了させる必要があります。

相続登記は、相続人の確定、戸籍謄本の収集、遺産分割協議書の作成など、専門的な知識が求められる複雑な手続きです。

相続が絡むケースでは、手続きの順番や必要書類が大きく変わるため、無理に自分で進めず司法書士に相談するのが安全かもしれません。

専門家に相談したほうがよいケース

住宅ローン完済後の抵当権抹消手続きはご自身でも進められますが、少しでも複雑な事情が関係する場合は、無理をせずに司法書士に相談するほうがいいでしょう。

時間や手間がかかるだけでなく、不動産取引に影響が出るリスクも考えられます。

これらのケースでは、ご自身で手続きを進めると想定以上の時間がかかったり、書類の不備でやり直しになったりすることがあります。

早めに状況を整理して相談することで、スムーズかつ安全に手続きを完了できます。

登記識別情報などを紛失した時

「登記識別情報」とは、不動産の権利者本人であることを証明する重要な情報(以前は「登記済証」や「権利証」と呼ばれていました)で、一度紛失すると再発行はできません。

大切に保管していても、どこにしまったか分からなくなってしまうケースは少なくありません。

もし紛失してしまった場合、法務局の「事前通知制度」などを利用する方法がありますが、法務局からの書類の郵送を待つなど、手続き完了までに数週間以上の時間がかかることが一般的です。

この遅れは、その後の予定に影響を及ぼしかねません。

売却を急いでいるなど、手続きをスムーズに進めたい場合は、司法書士に依頼して「本人確認情報」という書類を作成してもらうことで、事前通知制度を経ずに申請を進めることが可能です。

住所・氏名が変わっている時

登記簿に記録されているご自身の住所や氏名が、引越しや結婚などで現在と異なっている場合、抵当権抹消の前提として、まず住所や氏名の変更登記を申請する必要があります。

この手続きを忘れてしまうと、抵当権抹消の申請が受け付けられません。

この住所変更登記は2026年4月1日から義務化され、正当な理由なく怠った場合には5万円以下の過料の対象となる可能性があります。

特に複数回引越しをしていると、住所の変遷を証明するための書類集めが大変になることがあります。

市区町村役場で「住民票の除票」や「戸籍の附票」などを取得して住所のつながりを証明する必要があり、手間がかかるため、司法書士に任せたほうがスムーズに完了します。

相続登記が未了の不動産

亡くなった親名義の不動産など、相続した物件の抵当権を抹消したい場合は、前提として相続を原因とする所有権移転登記(相続登記)を完了させなければなりません。

所有者本人でなければ、抵当権抹消の手続きは進められないのです。

相続登記は2024年4月1日から義務化されており、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請しないと、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。

相続人の調査のために戸籍謄本を収集したり、相続人全員で遺産分割協議書を作成したりと、手続きは専門的で複雑です。

そのため、抵当権抹消とあわせて司法書士へ相談するのが一般的です。なお、相続登記の義務化については、以下の記事で解説しています。

家の名義変更(相続登記)は死亡後いつまで?義務化の期限と罰則を解説(ウルズンMAGAZINE)

売却の決済日が近い時

不動産を売却する場合、買主への所有権移転登記と、売主の抵当権抹消登記は、売買代金の決済当日に同時に行うのが一般的です。

この日の手続きは、買主・売主・不動産会社・金融機関・司法書士が関係するため、失敗が許されません。

もしご自身で用意した抵当権抹消の書類に不備があると、その日のうちに手続きが完了できず、買主の住宅ローン実行がストップしてしまうなど、取引全体に大きな支障をきたすリスクがあります。

取引の安全性を確保するため、不動産会社が手配する司法書士が、所有権移転と抵当権抹消の登記を責任をもってまとめて行うのが通例です。

売却が決まっている場合は、自己判断で進めず、まずは不動産会社に相談しましょう。

金融機関の合併や名称変更

住宅ローンを組んだ金融機関が、その後の合併や社名変更によって、現在は別の名前になっていることがあります。

この場合、通常よりも手続きが複雑になる可能性があります。

金融機関から受け取る書類の内容が通常と異なったり、場合によっては抵当権抹消の前提として「抵当権移転登記」という追加の手続きが必要になるケースもあります。

この判断を自分で行うのは簡単ではありません。

どのような手続きが必要になるかご自身で判断するのは難しいため、まずは現在の金融機関(合併後の銀行など)の担当窓口に連絡するか、司法書士に登記簿を確認してもらい、必要な手順を正確に把握することが大切です。

必要書類と費用

抵当権抹消手続きを自分で行う場合、必要書類を正確にそろえ、費用の内訳を理解しておくことが大切です。

司法書士に依頼するかどうかで、総額が大きく変わってきます。

書類に不備があると手続きが滞る原因になりますし、費用は誰が手続きするかで大きく変動するため、事前にご自身のケースでかかる費用を把握しましょう。

登録免許税は不動産1個1,000円

「登録免許税(とうろくめんきょぜい)」とは、登記を申請する際に国へ納める税金のことです。

抵当権抹消登記の登録免許税は、不動産1個あたり1,000円と法律で定められています。

例えば、土地1筆と建物1棟の戸建てであれば、不動産は2個と数えるため、合計2,000円の登録免許税が必要になります。

2,000円で登記がきれいになるなら、安いものだと感じるかもしれません。

マンションの場合、建物部分に加えて敷地権の数に応じて金額が変わることがあるため、ご自身の登記事項証明書で不動産の個数を確認してください。

登録免許税は、登記申請書に税額分の収入印紙を貼って納付するため、事前に正確な金額を計算しておくことが大切です。

金融機関から受領する書類

住宅ローンを完済すると、金融機関から抵当権抹消に必要な書類一式が送られてきます。

特に「登記識別情報(とうきしきべつじょうほう)」または「登記済証(とうきずみしょう)」は、不動産の権利に関する大変重要な書類です。

金融機関から届く書類は、抵当権抹消登記の申請に不可欠なものばかりです。

これらの書類を紛失すると再発行ができず、手続きが複雑化するため、大切に保管してください。

書類がご自宅に届いたら、内容がそろっているかをすぐに確認し、法務局へ申請するまでなくさないようにしましょう。

自分で用意する登記申請書

「登記申請書(とうきしんせいしょ)」とは、どの不動産のどの抵当権を抹消したいのかを法務局に伝えるための公式な書類を指します。

この登記申請書は、ご自身で作成する必要がある書類です。

法務局のウェブサイトにひな形と書き方の見本が用意されているため、そちらを参考に作成を進められます。

不動産の情報は登記事項証明書を見ながら、一字一句間違えないように正確に記入することが、手続きをスムーズに進めるポイントになります。

司法書士へ依頼した場合の報酬

「司法書士報酬」は、抵当権抹消手続きの代行を専門家である司法書士に依頼した場合に支払う手数料のことです。

司法書士の報酬は自由化されており、事務所によって金額が異なります。

日本司法書士会連合会が2018年に行った調査によると、土地1筆・建物1棟の抵当権抹消手続きに関する全国の平均報酬額は13,821円でした。

報酬は1万円台から3万円程度がひとつの目安となりますが、不動産の数や手続きの複雑さによって変動します。

司法書士に依頼を検討する場合は、事前に複数の事務所へ見積もりを依頼し、サービス内容と費用の両方を確認してから決めるとよいでしょう。

法務局での申請方法

抵当権抹消の登記申請は、法務局で行います。

申請方法には「窓口持参」「郵送」「オンライン」の3種類があり、ご自身の状況や都合に合わせて最適な方法を選択することが大切です。

どの方法を選ぶにしても、事前に必要書類を正確に準備することが手続きをスムーズに進める鍵となります。

不動産の管轄法務局の調査

抵当権抹消登記は、どの法務局でも申請できるわけではありません。その不動産の所在地を管轄する法務局に申請する必要があります。

例えば、東京都新宿区にある不動産であれば、東京法務局新宿出張所が管轄となります。

検索エンジンで「(市区町村名) 不動産登記 管轄」と検索すると、該当する法務局のウェブサイトがすぐに見つかります。

この一手間を省いてしまうと、申請を受け付けてもらえないため、必ず事前に確認してください。

窓口持参による申請手続き

書類の準備が整ったら、管轄法務局の窓口に直接持参して申請します。

法務局の受付時間は、平日の午前8時30分から午後5時15分までが一般的です。

窓口では、番号札を取って順番を待ち、登記申請の窓口担当者に書類一式を提出します。

なお、法務局には「登記手続案内」という相談窓口もありますが、これは事前予約制です。

書類の作成代行や、提出前の事前審査をしてもらえる場所ではないという点は理解しておく必要があります。

あくまで一般的な手続きの流れを案内するものです。

不備がなければその場で受付が完了し、後日、登記完了証などを受け取ります。

郵送による登記申請のやり方

平日に法務局へ行く時間が取れない方には、郵送による申請が便利です。

登記申請書と添付書類一式を封筒に入れ、管轄法務局宛てに送付します。

この際、普通郵便ではなく、必ず書留郵便またはレターパックプラスで送付し、登記完了後の書類を返送してもらうための返信用封筒(切手貼付)も同封します。

郵送申請は移動の手間が省けるメリットがあります。

ただし、書類に不備があった場合は電話で連絡が入り、法務局に出向いて補正(修正)するか、書類を郵送でやり取りする必要があるため、窓口申請よりも手続き完了までに時間がかかるケースがあります。

オンライン申請利用時の注意点

登記申請は、「登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと)」を利用してインターネット経由でも行えます。

これは、ご自宅のパソコンから法務局へ登記申請ができる便利な仕組みです。

しかし、この方法を利用するには、マイナンバーカードやICカードリーダライタの準備、専用ソフトのインストールなど、事前準備が必要です。

また、金融機関から受け取った委任状や登記原因証明情報などの添付書類は、別途郵送か持参で提出する必要があります。

抵当権抹消手続き1回のためにこれらの準備をするのは、かえって手間がかかることも少なくありません。

そのため、IT機器の操作に慣れていない方や、一度きりの申請であれば、窓口持参か郵送のほうが現実的と言えるでしょう。

売却予定がある場合の注意点

自宅の売却を予定している場合、抵当権抹消のタイミングが取引の安全性に直結します。

住宅ローンを完済した後に自分で抹消手続きをする方法と、売却の決済日に所有権移転と同時に抹消する方法の2つがあり、後者の場合は専門家との連携が欠かせません。

安全な売却を実現するためには、自己判断で進めずに、事前に不動産会社や司法書士に相談することが重要です。

売却代金でローンを完済

売却代金でローンを完済する方法とは、住宅ローンが残っている不動産を売却し、買主から受け取った代金で残りのローンを一括返済する取引のことです。

この方法を使えば、手元にまとまった資金がなくても売却を進められます。

ただし、この取引は売却価格が住宅ローンの残高を上回る(アンダーローン)ことが大前提となります。

例えば、ローン残高が2,000万円の場合、売却価格が1,800万円だと差額の200万円を自己資金で用意しないと抵当権を抹消できません。

そのため、売却を検討し始めたら、まずはローン残高と不動産のおおよその売却価格を把握することが最初のステップです。

決済と抹消・移転を同時に実施

売却代金でローンを完済する場合、所有権の移転と抵当権の抹消は、売買代金の決済日に同時に登記申請するのが一般的です。

これを「同時決済」や「同時抹消」と呼び、安全な取引に不可欠な手続きとなります。

具体的には、決済日当日に買主から売主へ売買代金が支払われ、その資金で売主が金融機関にローンを完済し、司法書士が法務局へ所有権移転と抵当権抹消の登記を申請するという一連の流れを、数時間のうちに完了させます。

このタイトなスケジュールを滞りなく進めるため、登記手続きは司法書士に依頼するのが通例です。

個人で申請して万が一不備があると、決済そのものが成立しなくなるリスクがあります。

決済時の関係者との連携

同時決済には、売主と買主のほか、不動産会社、金融機関(売主・買主双方の)、司法書士など、多くの専門家が関与します。

それぞれの役割を担う関係者が正確に連携することで、初めて安全な取引が実現するのです。

例えば、不動産会社は取引全体の段取りを調整し、金融機関はローン完済の手続きと抵当権抹消書類の準備、司法書士は登記申請の実務を担当します。

これらの専門家が事前に連絡を取り合い、必要書類や当日の流れを綿密に打ち合わせることで、決済をスムーズに進めます。

このように複雑な連携が必要になるため、売却を決めたら早めに不動産会社に相談し、全体の流れを理解しておくことが大切になります。

自己判断による取引への影響

売却が関わる抵当権抹消を自己判断で進めようとすると、売買取引そのものに深刻な影響を及ぼす可能性があります。

特に、書類の不備や手続きの遅れは、買主との信頼関係を損なう大きなリスクです。

もし決済日当日に書類の不備が見つかり登記申請ができないと、買主への所有権移転が遅延し、買主が利用する住宅ローンの融資が実行されない事態に発展します。

最悪の場合、契約違反となり損害賠償を請求される可能性もゼロではありません。

司法書士への報酬を節約する目的で自分で進めた結果、かえって大きな損失につながることもあります。

安全で確実な不動産取引のためには、専門家である司法書士に登記手続きを任せるのが賢明な判断です。

抵当権が残ったままでも査定相談はできる

住宅ローンが残っていても、抵当権が設定されたままでも、不動産の売却査定や相談は問題なくできます。

重要なのは、売却の流れとご自身の状況を正しく把握することです。

抵当権が残った状態での売却活動について、3つのポイントで解説します。

査定をきっかけに、売却価格の目安と住宅ローンの残債を比較し、今後の計画を立てていきましょう。

査定前に抹消は必須ではない

不動産を売却する際に、査定の申し込みをする前に抵当権を抹消しておく必要はありません。

多くのケースでは、売却代金で住宅ローンを完済し、物件の引き渡し(決済)と同じ日に抵当権の抹消登記と所有権の移転登記を同時に行います。

この手続きは司法書士が関係者と連携して進めるため、売主様が事前に自分で抹消登記を申請する必要はないのです。

ですから、ローンが残っているからと売却をためらうのではなく、まずは現状のまま相談することから始めるのが第一歩となります。

売却価格とローン残債の確認

査定相談で最も大切なことは、売却価格の目安が住宅ローンの残債額を上回るかどうかを確認することです。

金融機関から送付される返済予定表や残高証明書で正確なローン残債を把握し、不動産会社の査定価格と比較します。

この比較によって、売却後に手元に残る資金がわかるだけでなく、そもそも売却が可能かどうかの判断材料になります。

売却前の状況整理と相談の活用

抵当権の抹消だけでなく、売却にはさまざまな手続きが関係します。

そこで、不動産会社への相談を「状況整理の機会」として活用することをおすすめします。

例えば、査定価格とローン残債の比較、売却にかかる諸費用(仲介手数料、税金など)の見積もり、そして売却完了までのスケジュール感といった情報を一度に得られます。

いきなり売却を決める必要はありません。

まずは専門家と一緒にご自身の状況を客観的に把握することが、不安なく売却を進めるための鍵となります。

よくある質問(FAQ)

抵当権抹消手続きにはどのくらいの期間がかかりますか?

ご自身で書類を準備し法務局へ申請する場合、手続きがスムーズに進めば1週間から2週間程度で完了します。

ただし、書類に不備があって補正(修正)が必要になると、さらに時間がかかります。

司法書士に依頼した場合は、書類の受け渡しから数日で登記申請を完了させ、1週間前後で手続きを終えるケースが多いです。

売却など期限がある場合は、専門家へ依頼するほうが確実といえます。

法務局の相談窓口では、登記申請書の書き方を教えてもらえますか?

法務局の「登記手続案内」は、一般的な手続きの流れや申請書の様式について案内する窓口であり、個別具体的な書き方を指導したり、完成した書類を事前にチェックしたりする場所ではありません。

あくまでご自身の責任で登記申請書を作成する必要があります。

もし書き方に少しでも不安がある場合は、司法書士へ相談することを検討しましょう。

金融機関から受け取った書類(委任状など)に有効期限はありますか?

金融機関から受け取る必要書類のうち、会社の登記事項証明書(代表者の資格証明書)には、発行後3ヶ月以内という有効期限があります。

委任状そのものに法律上の期限はありません。

しかし、住宅ローン完済から時間が経過すると、金融機関の代表者が交代しているなどの理由で、受け取った書類がそのままでは使えなくなる可能性があります。

そのため、書類を受け取ったら速やかに手続きを進めることが重要です。

抵当権抹消手続きのオンライン申請は、誰でも簡単にできますか?

オンライン申請は、ご自宅から手続きできるメリットがあります。

しかし、利用するにはマイナンバーカードやICカードリーダライタの準備、専用ソフトのインストールなど、事前準備が煩雑です。

また、金融機関から受け取った委任状などの書類は別途法務局へ郵送する必要があるため、一度きりの手続きのために準備をするのは、かえって手間がかかる場合があります。

多くの方にとっては、窓口か郵送での申請が現実的なやり方です。

共同担保目録がある不動産の場合、自分で手続きするのは難しいですか?

共同担保目録がある不動産とは、複数の土地や建物がまとめて一つの住宅ローンの担保になっている状態のことです。

登記申請書に記載する不動産の数が多くなり、記載漏れのリスクが高まるため、ご自身で手続きする際の難易度は上がります。

特に私道やゴミ置き場の持分など、一部の不動産に対する抵当権を抹消し忘れると、将来の売却時に支障が出る恐れがあるため、司法書士への相談をおすすめします。

登記識別情報(登記済証)を紛失してしまいました。どうすればよいですか?

登記識別情報や登記済証(権利証)は、一度紛失すると再発行されません。

もし書類紛失に気づいた場合でも、代替手続きによって抵当権の抹消は可能です。

ただし、法務局が本人確認を行うための手続きが必要になるため、通常よりも時間がかかります。

売却を急いでいるなど、手続きをスムーズに進めたい場合は、司法書士に依頼して「本人確認情報」を作成してもらうのが確実な方法です。

気づいた時点ですぐに専門家へ相談しましょう。

まとめ

この記事では、住宅ローン完済後に行う抵当権抹消手続きについて解説しました。

金融機関から届いた書類がそろっており、住所変更や相続などがなければご自身でも進められますが、最も大切なのはご自身の状況を正しく把握し、自分で進めるか専門家に相談するかを判断することです。

もしご自身での手続きに不安がある場合や、将来的に不動産の売却を考えている場合は、まず専門家へ相談し、登記の状況と今後の進め方を整理することから始めましょう。

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この記事を作った人

不動産SEOを手がけるアップライト合同会社の編集チームです。本サイトではAIを活用して下調べや草案作成を行い、その後に人間が内容を確認して記事化しています。公開記事は、編集部による確認に加え、必要に応じて宅地建物取引士である立石秀彦が構成と内容をチェックしています。

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