不動産売却の確定申告が不要な3つのケース|税金ゼロでも必要

不動産売却の確定申告は、特例を使わずに計算した譲渡所得(不動産を売って出た利益)が0円以下になる場合は、原則として不要です。

とはいえ、納税額が0なら確定申告が不要なのかというとそうではありません。必要なケースがあります。

特に、3,000万円特別控除などの特例を利用して税金を0円にするためには、確定申告は必須。その点を理解することが重要になります。

申告が必要なケースに該当するにもかかわらず手続きをしないと、本来の税額に加えて無申告加算税や延滞税が課されます。

監修者プロフィール:立石秀彦(アップライト合同会社)。宅地建物取引士。沖縄県で不動産会社を約10年間経営・売却後、複数の不動産メディアを運営。不動産会社の立場・ユーザーの立場、双方で一括査定サービスを実際に利用した経験を持ちます。

目次

不動産売却で確定申告が不要になる可能性

不動産を売却した後の確定申告は、譲渡所得(じょうとしょとく:不動産を売って出た利益)が発生しない場合に、原則として不要となります。

しかし、税金の特例を利用する場合や個別の状況によっては申告が必要になるため、その点は慎重に判断してください。

まずはご自身の状況がどのケースに当てはまるか、正確に確認することから始めましょう。

譲渡所得が0円以下のケース

譲渡所得とは、不動産の売却価格から取得費(こうにゅうじにかかったひよう)と譲渡費用(うるためにかかったひよう)を差し引いて計算される利益のことです。

この計算式で算出された金額が0円以下、つまりマイナス(赤字)になる場合は利益が出ていないことになります。

例えば、3,000万円で売却した不動産の取得費が2,800万円、譲渡費用が250万円だった場合、譲渡所得は「3,000万円 – (2,800万円 + 250万円) = -50万円」となり、利益は発生しません。

50万円もの赤字が出ると、税金の心配はなくなりますね。

このように、計算の結果として譲渡所得が0円以下であれば所得税はかからず、確定申告も原則として不要となります。

特例を使わない譲渡損失

不動産を売却して赤字が出た場合でも、その損失を給与所得などと自由に相殺できるわけではありません。

ただし、一定のマイホーム売却では例外があります。代表的なのが、「マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例」です。要件を満たすと、売却で出た赤字を給与所得など他の黒字所得と相殺でき、すでに源泉徴収された所得税の一部が還付される場合があります。

さらに、その年に相殺しきれなかった損失は、翌年以後3年内に繰り越せる可能性も。対象は主に居住用財産であり、投資用不動産や別荘の赤字まで広く認められる制度ではありません。利用するには、売却した年の確定申告で必要書類を添えて手続きする必要があります。

もし条件に当てはまる場合、この特例を使えば税金の還付を受けられる可能性があります。

損失が出た場合は、申告するメリットがないか一度検討することが大切です。

マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例(国税庁)

申告不要と自己判断するのは危険

確定申告が不要だと思っていても、計算ミスや特例の適用要件の誤解によって、本来は申告が必要なケースも考えられます。

もし申告が必要だったにもかかわらず手続きをしなかった場合、後日税務署の調査で指摘され、本来の税額に加えて無申告加算税や延滞税が課される可能性もゼロではありません。

申告の要否は、個別の事情によって判断が大きく変わるため、不安な点があれば、自己判断で済ませずに税務署や税理士などの専門家に相談しましょう。

不動産売却で確定申告が必要な場合(譲渡所得が出た場合)

不動産を売却して利益が出た場合、原則として確定申告が必要です。

譲渡所得は給与所得などとは別に税金が計算されるため、会社員の方であっても年末調整とは別に手続きを行う必要があります。

譲渡所得がプラスのケース

譲渡所得とは、不動産を売却して得られた利益のことを指し、「売却価格-(取得費+譲渡費用)」で計算します。

取得費は不動産の購入代金や購入時にかかった諸費用、譲渡費用は売却時の仲介手数料などです。

例えば、3,000万円で売却した物件の取得費と譲渡費用が合計で2,500万円だった場合、譲渡所得は500万円となります。

この利益に対して所得税と住民税がかかります。

このように、計算の結果、譲渡所得がプラスになった場合は確定申告が必要です。

給与所得とは別の分離課税

不動産の譲渡所得にかかる税金は、分離課税という特別な方法で計算されます。

分離課税とは、会社からの給与所得など他の所得とは合算せず、不動産の譲渡所得だけで独立して税額を算出する仕組みです。

税率は不動産の所有期間によって異なり、所有期間が5年以下の場合は39.63%(短期譲渡所得)、5年を超える場合は20.315%(長期譲渡所得)です。

この税率を譲渡所得に乗じて納税額を計算します。

給与所得とは税金の計算体系が根本から異なるため、注意が必要です。

年末調整で完結しない理由

会社員の方の場合、所得税の精算は年末調整で行われるのが一般的です。

しかし、年末調整はあくまで会社から支払われた給与に関する手続きであり、個人の不動産売却による所得は含まれません。

会社は従業員の不動産売買の情報を把握していないため、年末調整で不動産の譲渡所得を計算することはできません。

したがって、不動産を売却して利益が出た会社員の方は、ご自身で確定申告を行い、納税する必要があります。

税金ゼロでも申告しておきたい主な特例

不動産売却で税金がかからない場合でも、特例を利用して税額をゼロにするためには確定申告が必須です。

この手続きを忘れると、特例の適用が受けられず、本来は不要だったはずの税金やペナルティが発生するおそれがあります。

ここで紹介する特例は、いずれも自動的に適用されるわけではありません。

自分自身で利用可能な特例を見つけ、正しく申告手続きを進めることが大切です。

居住用財産の3,000万円特別控除

居住用財産の3,000万円特別控除とは、マイホーム(自分が住んでいる家)を売却した際に、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例です。

例えば、譲渡所得が2,500万円だった場合、この特例を使えば全額が控除されて所得税・住民税は0円になります。

この節税効果の大きさから、マイホームを売却する多くの方が利用を検討する制度となっています。

この特例は適用要件が細かく定められています。

税額がゼロになる場合でも、確定申告をしなければ適用されないため注意しましょう。

譲渡損失の損益通算と繰越控除

譲渡損失の損益通算と繰越控除とは、マイホームを売却して損失(赤字)が出た場合に、その損失を給与所得など他の所得と相殺(損益通算)したり、翌年以降3年間繰り越したりできる特例です。

例えば、年収600万円の会社員が不動産売却で500万円の損失を出した場合、その年の所得を100万円として所得税や住民税を計算できるため、すでに納めた税金が還付されることがあります。

不動産売却で赤字が出た場合、「どうせ税金はかからないから」と何もしないと、本来受けられるはずの税金の還付を逃すことになります。

損失が出たときこそ、確定申告を検討することが重要です。

相続空き家の3,000万円特別控除

相続空き家の3,000万円特別控除(被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例)とは、相続した実家などが空き家になっている場合に、一定の要件を満たして売却すると譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度です。

この特例の対象となるのは、原則として昭和56年5月31日以前に建築された家屋で、相続開始から3年後の年末までに売却する必要があります。

この特例は、前述の居住用財産の3,000万円特別控除とは別の制度です。

適用要件がより複雑なため、ご自身が対象になるか、事前に税務署や税理士に確認することをおすすめします。

所有期間10年超の軽減税率の特例

所有期間10年超の軽減税率の特例とは、売却した年の1月1日時点で所有期間が10年を超えるマイホームを売却した場合、譲渡所得の一部について通常より低い税率が適用される制度です。

具体的には、譲渡所得のうち6,000万円以下の部分について、所得税・住民税を合わせた税率が長期譲渡所得の20.315%から14.21%に軽減されます。

この特例は、居住用財産の3,000万円特別控除と併用できます。

3,000万円を控除した後の譲渡所得に対して軽減税率が適用されるため、大きな節税効果が期待できます。

適用を受けるには、確定申告が必須です。

会社員の20万円以下ルールと住民税

会社員の方が不動産を売却した際によく話題になるのが「20万円以下ルール」です。

このルールを正しく理解する上で重要なのは、所得税の申告が不要な場合でも住民税の申告は別途必要になるという点です。

このルールは不動産売却で得た利益(譲渡所得)にも関係しますが、所得税と住民税で扱いが異なるため注意が必要です。

それぞれのポイントを解説します。

所得税の申告不要ルール

所得税の申告不要ルールとは、給与を1か所から受け取っていて、その給与所得と退職所得以外の所得金額の合計額が20万円以下の場合、所得税の確定申告をしなくてもよいという制度です。

これは年末調整で納税が完了している会社員などを対象としたものです。

例えば、給与以外の所得が不動産売却による譲渡所得のみで、その金額が15万円だった場合、このルールが適用されて所得税の確定申告は原則として不要になります。

ただし、医療費控除やふるさと納税などで確定申告をする場合は、たとえ不動産の譲渡所得が20万円以下であっても、その所得をあわせて申告する必要があります。

住民税申告の必要性

所得税の申告が不要でも安心はできません。

なぜなら、所得税の20万円以下ルールは住民税には適用されないからです。

所得税の確定申告をしない場合、税務署から市区町村へ所得に関する情報が自動的に連携されません。

そのため、不動産売却による譲渡所得が1円でも発生しているのであれば、お住まいの市区町村役場へ住民税の申告が別途必要になります。

この住民税の申告を忘れると、後日通知が来て延滞金が加算されることもあります。

所得税の申告が不要であっても、住民税の手続きは必要だと覚えておきましょう。

不動産売却への適用可否

不動産を売却して得た利益である譲渡所得も、20万円以下ルールの対象です。

しかし、不動産売却においては、このルールがそのまま適用できるケースは多くありません。

なぜなら、不動産の売却では譲渡所得が20万円を超えることがほとんどだからです。

また、居住用財産の3,000万円特別控除といった特例を適用するためには、譲渡所得の金額に関係なく確定申告が必須となります。

結論として、不動産売却で20万円以下ルールが適用され、確定申告も住民税申告も完全に不要になるケースは限定的です。

ご自身の状況をよく確認し、必要な申告手続きを行いましょう。

利益なしでも注意したい取得費の証明

不動産売却の税金計算では、「いくらで買ったか」を示す取得費が重要です。

ご自身の感覚で「利益は出ていない」と感じていても、取得費を証明できなければ、税金の計算上は大きな利益が出たとみなされることがあります。

特に相続した不動産や、何十年も前に購入した不動産では、取得費が不明なケースも少なくありません。

ここでは、取得費がわからない場合にどうなるのか、そのリスクについて解説します。

取得費不明時の概算計算

取得費がどうしても不明な場合、「概算取得費」という計算方法を用います。

これは、売却価格の5%を取得費とみなして計算する方法です。

例えば、3,000万円で売却した不動産の取得費が不明な場合、取得費はわずか150万円として扱われます。

これでは、ほとんどが利益とみなされてしまいますね。

実際の購入価格を証明できる書類がない限り、この概算取得費で譲渡所得を計算せざるを得ず、想定外の税金が発生する可能性があります。

譲渡費用に含められる費用

譲渡所得を計算する際は、取得費だけでなく「譲渡費用」も売却価格から差し引けます。

これは、不動産を売却するために直接かかった費用のことです。

どのような費用が該当するかを正しく把握し、漏れなく計上することで、課税対象となる譲渡所得を抑える効果が期待できます。

譲渡費用として認められるには、その支払いを証明する領収書が必要です。

売却にかかった費用の領収書は、必ず大切に保管しておきましょう。

購入時の契約書がないリスク

不動産売却において、購入時の売買契約書がないことは、実際の取得費を証明できず、税金の計算で著しく不利になる最大のリスクです。

契約書が見つからないと、先ほど説明した概算取得費(売却価格の5%)で計算されることになります。

その結果、実際には売却で赤字が出ていたとしても、税金計算上は多額の利益が出たと判断され、高額な税金を納める事態になりかねません。

もし契約書を紛失してしまった場合は、購入時のパンフレットや住宅ローンの契約書、登記費用の領収書など、取得費の根拠となる書類をできる限り探しましょう。

それでも見つからない場合は、早めに不動産会社や税理士に相談することをおすすめします。

相続不動産や空き家売却の注意点

相続した不動産を売却する場合、ご自身が購入したわけではないため、税金の計算方法が通常と異なります。

特に重要なのは、亡くなった方(被相続人)が不動産を取得したときの価格や所有期間をそのまま引き継ぐという点です。

これを理解しておかないと、税額の計算で大きな間違いが起こる可能性があります。

相続不動産の売却で利用できる可能性のある代表的な特例には、以下の2つがあります。

これらの特例は適用要件が細かく定められており、併用できないケースもあります。

ご自身の状況で利用できるか、事前に確認することが大切です。

最終的な税務判断については、税務署または税理士にご相談ください。

取得費の引継ぎについて

相続によって取得した不動産を売却する場合、亡くなった方(被相続人)がその不動産を購入したときの価格や手数料が、そのまま売却時の取得費として引き継がれます。

例えば、親御さんが30年前に2,000万円で購入したご実家を相続し、4,000万円で売却したとします。

この場合、取得費は2,000万円として計算されるため、売却時の経費を無視すると譲渡所得は2,000万円となります。

ご自身がお金を出して買ったわけではなくても、利益が出たものとして課税対象になるのです。

もし購入時の売買契約書などが見つからず取得費を証明できないと、売却価格の5%を概算取得費として計上することになります。

上記の例では、4,000万円の5%である200万円しか取得費と認められず、譲渡所得が3,800万円まで膨らんでしまう可能性があります。

まずは、取得費を証明できる書類を探すことが重要です。

相続税の取得費加算の特例

「相続税の取得費加算の特例」とは、相続税を支払った方が、相続した財産を特定の期間内に売却した場合、支払った相続税額の一部を取得費に加算できる制度です。

この特例を利用できるのは、相続が開始された日の翌日から3年10ヶ月以内に、その相続財産を売却した場合に限られます。

この制度は、同じ財産に対して相続税と譲渡所得税が二重で課税される負担を軽くするためのものです。

取得費が増えることで譲渡所得が圧縮され、結果として所得税や住民税の納税額を抑える効果が期待できます。

この特例を受けるためには、譲渡所得が0円以下になる場合でも確定申告が必要です。

また、相続したすべての方が対象となるわけではなく、その不動産を相続して相続税を納めた方などが対象者となります。

空き家特例の適用要件

「空き家特例」は通称で、正式には「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」といいます。

これは、一定の要件を満たす空き家を相続して売却した場合に、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度です。

適用を受けるためには、昭和56年5月31日以前に建築された家屋であることや、相続開始の直前まで被相続人が一人で居住していたことなど、複数の細かい要件をすべて満たす必要があります。

売却する際には、建物を耐震リフォームするか、もしくは建物を取り壊して更地として売却することが求められます。

この特例の主な適用要件は以下の通りです。

空き家特例を利用する場合も確定申告が必須です。

手続きの一環として、物件所在地の市区町村役場で「被相続人居住用家屋等確認書」という書類を発行してもらう必要があり、準備に時間がかかるため、売却活動と並行して早めに手続きを進めましょう。

確定申告で迷ったときの相談先

不動産売却後の確定申告で疑問や不安が生じたとき、どこに相談するかを正しく見極めることが大切です。

相談先には税務署、税理士、不動産会社などがあり、それぞれに専門分野や役割が異なります。

ご自身の状況や知りたいことに合わせて相談先を選ぶと、スムーズに問題を解決できます。

税務署の役割

税務署は、税金に関する公的な手続きや一般的な問い合わせに対応する国の機関です。

確定申告の時期である毎年2月16日から3月15日前後には、特設の相談窓口が設けられ、無料で相談に応じてもらえます。

税務署はあくまで中立的な立場のため、個別の事情に踏み込んだ節税のアドバイスや、どの特例を使うのが最も有利かといった判断はしてくれません。

確定申告の基本的な手続きや書類の記入方法で迷った場合に、最初に頼れる相談先です。

税理士の役割

税理士は、税務に関する専門家であり、納税者の代理人として税務相談や申告手続きを行えます。

税理士への相談や申告代行は有料で、相談料は1時間あたり5,000円から2万円程度、申告代行は10万円以上が目安となります。

特に、売却益が大きくなるケースや、複数の特例の選択で迷う場合、相続が絡む複雑な案件では税理士に相談する価値は十分にあります。

費用はかかりますが、専門的な視点から最も有利な申告方法を提案してくれるでしょう。

不動産会社の役割

不動産会社は、不動産の売買取引を専門とし、売却活動全般をサポートする役割を担います。

税金の計算に不可欠な売却価格の見通し(査定)を無料で把握できるのが大きなメリットです。

不動産会社に相談できること・できないこと
できること売却価格の査定
売却にかかる譲渡費用の見積もり
売却活動の具体的な進め方の相談
できないこと個別の税額計算や確定申告書の作成代行
税務上の具体的な判断

不動産会社は税務の専門家ではないため、税金の個別具体的なアドバイスや申告代行は法律で禁じられています。

これから売却を始める方や、自分の不動産がいくらで売れるか知りたいという段階で、最初に相談する相手として最適です。

売却前に準備しておきたい書類

確定申告では、譲渡所得を正しく計算した根拠を示す書類も必要です。

特に、購入時の売買契約書は取得費を証明する最も大切な書類なので、紛失していないか確認しておきましょう。

確定申告の際に用意しておきたい主な書類は以下の通りです。

これらの書類は、税額を正確に計算し、特例の適用を証明するために不可欠です。

売却が決まった段階から意識的に整理を始めると、申告時期に慌てずに済みます。

売買契約書(購入時・売却時)

売買契約書は、不動産の取得費(いくらで購入したか)と譲渡価額(いくらで売却したか)を証明する最も重要な書類です。

この書類がないと、譲渡所得の計算が正確にできなくなります。

もし購入時の契約書を紛失し取得費が不明な場合、売却価格の5%しか取得費として認められない「概算取得費」で計算される可能性があります。

例えば5,000万円で売却した場合、本来の取得費が3,000万円でも、250万円しか経費計上できず、税金が大幅に増えてしまうのです。

これは大変な損失ですよね。

売却時の契約書はもちろん、特に購入時の契約書は大切に保管し、確定申告に備えましょう。

紛失した場合は、当時の不動産会社や融資を受けた金融機関に記録が残っていないか確認することをおすすめします。

諸費用の領収書

諸費用の領収書は、売買にかかった経費(取得費や譲渡費用)を証明するために必要な書類です。

これらを漏れなく集めることで、課税対象となる譲渡所得を抑える効果が見込めます。

例えば、仲介手数料、印紙税、登記費用、測量費、建物の解体費などが譲渡費用に含まれます。

仮に仲介手数料だけで100万円以上かかっていれば、その分だけ課税所得を圧縮できるので、領収書の有無は納税額に直結するのです。

どんなに小さな金額でも、売却に関連する費用の領収書はすべて保管しておきましょう。

どの費用が経費として認められるか判断に迷う場合は、税務署や税理士に相談してください。

登記事項証明書

登記事項証明書(登記簿謄本)は、不動産の所在地、面積、所有者情報など、権利関係を公的に証明する書類です。

売却した不動産の情報が正しいことを示すために使用します。

通常、不動産売却の決済(引渡し)時に司法書士から受け取ります。

万が一手元にない場合でも、全国どこの法務局でも1通600円程度で取得可能です。

オンライン請求ならさらに安く取得できます。

確定申告書に添付して提出する必要があります。

売却後に受け取った書類一式の中に保管されていることが多いので、他の書類と一緒に準備を進めると効率的です。

税金に関する不安を解消する準備

確定申告が必要かどうかを正しく判断するには、事前の準備が欠かせません。

特に、売却価格、経費、特例の3つの要素を整理することが重要になります。

これらの情報が曖昧なままでは、正確な税金の計算や申告の要否を判断できません。

具体的に何を、どのように準備すればよいかを見ていきましょう。

これらの準備をすることで、税金の概算を把握し、確定申告に向けて落ち着いて行動できるようになります。

専門家に相談する際も、具体的な情報をもとに話を進められるため、スムーズです。

売却価格の見通しの確認

税額計算の出発点となるのが、不動産の売却価格です。

この価格がわからなければ、そもそも利益である譲渡所得が出たのかどうかも判断できません。

例えば、査定価格が3,500万円で、購入価格や経費の合計が3,200万円なら、300万円の譲渡所得が見込まれます(ただし、実際に成約するまで確定はできない)。

反対に、査定価格が3,000万円であれば譲渡損失となり、申告の要否の判断が変わってきます。

まずは不動産会社に査定を依頼し、現実的な売却価格の見通しを立てることが、税金への不安を解消する第一歩です。

経費の洗い出しと整理

譲渡所得を計算する上で売却価格から差し引けるのが、取得費(不動産の購入にかかった費用)と譲渡費用(売却のために直接かかった費用)です。

これらの経費を漏れなく集計することが、正しい税額計算につながります。

取得費には購入時の仲介手数料や登記費用、譲渡費用には売却時の仲介手数料や印紙税などが含まれます。

もし取得費を証明する購入時の売買契約書などが見つからない場合、売却価格の5%しか経費として認められず、税金が高額になるケースがあるため注意が必要です。

購入時の書類や諸費用の領収書を探し出し、売却で発生する費用とあわせてリストアップしておきましょう。

適用可能な特例の把握

不動産売却では、税金の負担を軽くするための様々な特例が用意されています。

代表的なものが、マイホーム売却時の「居住用財産の3,000万円特別控除」です。

この特例を使えば、譲渡所得から最大で3,000万円を差し引くことが可能です。

しかし、税金がゼロになる場合でも、特例の適用を受けるためには確定申告が必須となります。

他にも譲渡損失の損益通算や相続空き家の特例など、ご自身の状況によって使える制度は異なります。

どの特例が利用できる可能性があるのかを事前に確認し、申告が必要かどうかを判断することが大切です。

よくある質問(FAQ)

不動産売却で赤字が出ました。何もしなくてもよいですか?

原則として、譲渡所得(不動産を売って出た利益)が赤字(譲渡損失)の場合は、確定申告の義務はありません。

しかし、売却した不動産がマイホーム(居住用財産)であり、一定の要件を満たす場合は、「譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」を適用できます。

この特例を利用するために確定申告をすると、給与所得など他の所得と損失を相殺でき、納めすぎた所得税が還付されることがあります。

不動産売却で譲渡損失が出たときこそ、確定申告をするメリットがないか確認しましょう。

共有名義の不動産を売却した場合、確定申告は誰がしますか?

共有名義の不動産を売却した場合、名義人となっている方全員が、それぞれご自身の持分に応じて確定申告をする必要があります。

売却価格や取得費(購入時にかかった費用)なども持分割合で按分して、各自の譲渡所得を計算します。

例えば、親子2分の1ずつの名義であれば、それぞれが売却価格の半分、取得費の半分を基に計算を行います。

マイホーム売却の3000万円控除などの特例も、要件を満たせば各共有者がそれぞれ利用できます。

もし不動産売却の確定申告をしないとどうなりますか?

本来は申告が必要な方が確定申告をしなかった場合、後日税務署から指摘を受けることがあります。

その際は、本来納めるべきだった税金に加えて、ペナルティとして「無申告加算税」や、納付が遅れたことに対する利息にあたる「延滞税」が課されます。

意図的に所得を隠したと判断されると、さらに重い「重加算税」の対象になるケースも存在します。

申告が必要だとわかった時点で、できるだけ早く自主的に期限後申告をすることが大切です。

マイホームの3000万円控除を使う際の注意点はありますか?

マイホームの売却で3000万円控除の特例を適用した年には、その年を含めて前後2年間(合計5年間)は、新たに購入した住宅について住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を利用できなくなる点に注意が必要です。

住み替えを検討している方は、3000万円控除で売却時の税金をゼロにするメリットと、新居での住宅ローン控除を受けるメリットを比較検討することが重要になります。

ご自身の資金計画に合わせて、どちらの特例を利用するか慎重に判断してください。

相続した実家の取得費がわからない場合、どうすればよいですか?

相続不動産を売却する際、親御さんが購入したときの売買契約書などが見つからず取得費がわからない場合は、まず当時のパンフレットや登記費用の領収書など、購入金額の参考になる資料をできる限り探しましょう。

それでも不明な場合は、売却価格の5%を取得費とみなす「概算取得費」で計算することになります。

しかし、これでは譲渡所得が非常に高額になり、税負担が重くなるケースが多いです。

どうにもならない場合は、税理士などの専門家へ相談することをおすすめします。

不動産会社に相談すれば、税金や確定申告のこともすべてわかりますか?

不動産会社は売却価格の査定や売却活動のプロですが、税金の専門家ではありません。

税理士法により、個別の税務相談や税額計算、申告書の作成代行などは税理士にしか認められていないのです。

不動産会社からは、売却にかかる費用や一般的な税金の知識について情報を得ることはできます。

しかし、最終的な不動産売却の確定申告が必要かどうかの判断や、複雑な特例の適用については、税務署や税理士に確認しましょう。

まとめ

不動産売却後の確定申告は、売却で利益(譲渡所得)が出なかった場合など、原則不要になるケースがあります。

しかし、3,000万円特別控除などの特例を利用して税金を0円にするためには、確定申告が必須となる点にご注意ください。

申告の要否は、売却価格だけでなく取得費や特例の適用可否によって決まります。

まずは不動産会社に査定を依頼して売却価格の見通しを立て、購入時の契約書など必要書類を整理することから始めましょう。

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この記事を作った人

不動産SEOを手がけるアップライト合同会社の編集チームです。本サイトではAIを活用して下調べや草案作成を行い、その後に人間が内容を確認して記事化しています。公開記事は、編集部による確認に加え、必要に応じて宅地建物取引士である立石秀彦が構成と内容をチェックしています。

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